アメリカの大学はすべて単位制で、四年制大学を卒業するには120〜130単位が必要。
そしてセメスター制では1学期にとる単位数は15単位前後、ということを理解したところで、具体的に卒業までどのような科目をとるのかを見てみましょう。
卒業単位を満たすのであれば何でも好きな科目をとっていいか、というとそうではありません。
「卒業するためにはこれこれの科目をとらなければなりません」
と大学や専攻ごとに決められています。
この、とらなければならない科目のことを「必修科目」といいます。
英語では"Required Courses"といったり"Requirements" といったりします。
四年制大学を卒業するまでにとる科目は、以下の三つの種類に大別されます。
(1)一般教養科目 (General Education or General Requirement):40〜60単位
(2)専攻科目 (Major) :30〜60単位
(3)選択科目 (Electives):10〜40単位
一般教養科目は、専攻にかかわらずその大学を卒業するためにはすべての学生が履修しなければならない科目です。
だいたい1・2年次に集中してとるもので、以下の分野から指定された科目と単位数をとります。
あらゆる学問の基礎となる分野をまんべんなく学ぶ、というのが一般教養科目です。
専攻は2年次の終わりまでに決めればいいので、さまざまな分野の一般教養科目をとりながら、自分が専攻として学びたい教科を見いだせばよいのです。
リベラルアーツ・カレッジではこの一般教養の必修単位数が多く、 50〜60単位をあてているところもあります。
反対に、総合大学では、それほど一般教養に重きを置いていないところも見られ、芸術の専門大学にいたっては、一般教養科目の枠をとくに設けていないところすらあります。
専攻科目は、文字通り自分の専攻とする科目のことです。
専攻ごとに必修科目や必修単位数が定められているので、その指定に沿って科目をとります。
四年制大学を卒業するためには、必ず一つ以上の分野を専攻として学ばなければなりません。
専攻のことをMajor(メジャー)といいます。
アメリカの大学には600を超える専攻分野があるといわれています。
小さな大学でも20〜30の専攻課程があり、総合大学ともなると100以上の専攻があったりします。
専攻のバラエティでは、アメリカの大学は世界ーです。
学びたい分野を必ず見いだすことができるでしょう。
また、アメリカの大学では異なる二つの分野を同時に専攻することができます。
これを「ダブルメジャー (Double Major)」といいます。
心理学とアート、経済学とコンビュー夕、ビジネスとコミュニケーションなど、組み合わせは自由です。
必修科目が倍になるわけですから、勉強は大変ですが、チャレンジする留学生も少なくありません。
リベラルアーツ・カレッジでは専攻の必修が少ないので、ダブルメジャーをしても4年で無理なく卒業できます。
選択科目は、一般教養科目と専攻科目のほかに、その大学で開講されているすべての科目の中から、自由に選んで履修する科目です。
たとえば心理学を専攻していても、選択科目としてアートの科目をとってもいいし、心理学の専攻の必修はクリアしていても、もっと心理学のクラスをとりたいというのであれば選択科目として心理学のクラスをとってもかまいません。
アメリカの大学には、日本の大学では開講されていないユニークな科目もあります。
ジュエリーデザイン、乗馬、写真、織物……いろいろ未知の分野にチャレンジしてみるのもおもしろいでしょう。
以上の一般教養科目、専攻科目、自由選択科目の単位数やその内容は、個々の大学カタログ(→p.157)やホームページに載っています。
ですから大学カタログをよく読めば、入学から卒業まで、どのように科目をとっていけばいいのか、シミュレートできるということになります。
日本にいる間にアメリカの大学でとる科目の内容がわかれば、そのための資料や参考書を集めたり、日本語で予習をすることもできます。
大学カタログは、個々の大学のカリキュラムを知るうえで欠かせない資料なのです。
とくに一般教養の科目は、その大学を卒業するためにすべての学生がとらなければならないので、大学の性格がよく反映されています。
たとえば、バージニア州のMary Baldwin Collegeは女子大ですので、一般教養の必修に女性学が含まれていますし、キリスト教系の大学だと、宗教学や神学が一般教養の必修になっていることがあります。
一般教養のカリキュラムを比較することで、志望校選びの指針をたてることができるでしょう。