アメリカは終身雇用という考えがありませんので、大学を出てよい会社に入るということをそんなに期待しているわけではありません。
卒業式まで勉強で手一杯ですので、大学在学中に就職活動をするということもありません。
まず卒業して、それからゆっくり就職のことを考えるので、アメリカでは卒業後半年くらいで、半分の人が就職を決めるといわれています。
大学を出たばかりのお給料はそれほど高いものではありませんので、しばらく親の家にいる者もいますが、卒業後、就職し、
1〜2年の間に、みんな家を出て独立して生活を始めていきます。
よい大学を出たから必ず一生幸福になるわけでもないことは、親たちもわかっていますので、子どもの出世・成長にはペイシェントで(我慢強く)あろうとします。
ある日本人女性と結婚しているボブは、若いのに似ず、ずいぶん落ち着いた風貌をしています。
大学を出てアメリカでもトップクラスの投資会社に入り、ヘッドハンティングを受けて、現在2社目です。
優秀なディーラーのため給料は高く、若くして大金持ちですが、大変質素な生活をしています。
40〜45歳までに仕事を辞め、あとはボランティアや趣昧の生活をすることを望んでいて、一生必要なお金を着々と貯めているのです。
アメリカの若者は日本人に比べると、学生であってもけっこう結婚します。
大学に夫婦寮があるくらいです。
大学院生にも結婚している人はめずらしくありません。
また、大学を出たらどんな状況であれ、親から確実に独立していきます。
日本のようなパラサイトシングルというのは見られません。
決して大企業に就職しているわけでなくても、ちゃんと独立して何とか食べていきます。
それに若いときは貧乏もへっちゃらです。
日本のように、みんながルイ・ヴィトンを持っているなんて、アメリカでは考えられないことです。
大学生も、社会ヘ出たばかりの若者も、貧しいのはあたり前です。
自分のしたいことがハッキリしている人もいればそうでない人もいます。
日本人から見れば、ちゃんとした職業も決まっていない状況で結婚してもいいのかしら、と思うような人たちもいます。
でも結婚も、自分たちの責任で生きていく一つの道でしかありません。
親が何もかもお膳立てをする日本と違って、大学を出たら一人で生きるということを身をもって知っていますし、それぞれ自分の身の丈に合った幸福や夢に向かって歩もうとしています。
そして何よりもアメリカ人としての誇りをもち、アメリカを愛し、アメリカの国がよりよくなるよう願っているのです。