第Y章 アメリカ大学 キャンパスライフ


さあ、いよいよアメリ力での大学生活がスタートします。

 

ここからが留学の本番。

 

留学を成功させるポイン卜は、「卒業がむずかしい」といわれるアメリ力の大学の学業生活について、前もってきちんと基礎知識を得ておくこと。

 

そのためにも、あなたが入学する大学の「大学力タログ」にもう一度よく目を通して、大学に到着してから卒業するまでの4年間を、あなたなりにシミュレー卜してみましょう。

 

何事もはじめが肝心。

 

最初の1年を乗り切れば、2年目からは驚くほどスムーズに生活が送れるようになります。


アメリ力の大学は、9月〜翌年5月までの約9か月間で1年度となります。

 

この1年度のことを、アカデミックイヤーと言います。

 

アカデミックイヤーを、「9〜12月の秋学期」と「1〜5月の春学期」に分けて、二学期制(セメスター制)をしいている大学が多いことは、第U章で述べた通りです。


まずは、大学に到着してからの1年を、アカデミックイヤーに沿ってダイジェス卜していきましょう。

 

アカデミックカレンダー

(Colby-Sawyer Collegeのものを一部参照)

秋学期 9月8日 新入生到着日
9月9〜11日 オリエンテーション
9月11日 科目登録
9月12日 授業開始
9月19日 Add & Drop最終日
10月12〜14日 中間テスト
10月15〜18日 秋休み
11月14〜17日 春学期の科目登録
11月23〜27日 感謝祭休暇
12月16日 授業最終日
12月17〜18日 自習日
12月19〜21日 期末テスト
     
  12月22日〜1月21日 冬休み
     
春学期 1月22日 帰寮日
1月23日 授業開始
1月30日 Add & Drop最終日
3月7〜9日 中間テスト
3月10〜19日 春休み
4月3〜5日 秋学期の科目登録
5月2日 授業最終日
5月3〜4日 自習日
5月5〜8日 期末テスト
5月13日 卒業式

入寮からオリエンテーションまで

 

大学に到着!

 

大学ごとに入寮日を定めているので、その定められた日に大学に到着します。

 

新入生の入寮日は、授業の始まる3〜7日くらい前です。

 

キャンパス近くの空港まで、大学のスタッフが迎えに来てくれることもあります。

 

「こんな山と緑しかないところに大学があるのかしら?」と不安を抱きながらも、そのうち広大なキャンパスが眼前に飛び込んできます。

 

キャンパスに着いたら、International Student Office(留学生オフィス)かHousing Office (寮を管理するオフィス)で、部屋のカギと翌日以降のオリエンテーションのスケジュールなどをもらい、決められた部屋に入ります。

 

留学生のほうがアメリカ人よりも先に入寮することが多いので、ベッドと机とクロゼットしかない部屋で、一人で荷をほどくことになるでしょう。

 

アメリカ人の新入生たちは、翌日か翌々日にドッと押し寄せてきます。

 

オリエンテーション

 

オリエンテーションとは、新入生のための大学生活全般についての説明会のようなもので、入寮日の翌日から、だいたい3〜5日かけて行われます。

 

まず留学生だけを対象としたオリエンテーションを設け、その後でアメリカ人と一緒に全般的なオリエンテーションを行う大学もあります。

 

オリエンテーションでは、キャンパス内外の案内、寮のルールや図書館など施設の使い方の説明、IDカード(学生証)の作成、アカデミック・アドバイザーの紹介、学生同士の親交を深めるためのゲームやイベント、遠足などが行われます。

 

大学によってはプレイスメント・テストや科目登録も、オリエンテーション期間中にします。

 

オリエンテーションが終われば、翌日から授業です。

 

入学式はありません。

 

オリエンテーションは友達づくりのいい機会です。

 

アメリカ人の学生たちも、みんな新しい友達ができることを楽しみにしています。

 

目があったらにっこり微笑むくらいのことはしましょう。

 

あらためて英語がわからないことに愕然とするかもしれませんが、とりあえず笑顔で乗り切っていきましょう!

 

最近では、オリエンテーションのスケジュールと、そこで行われる行事については、事前にホームページでチェックできるようになっていますので、よく目をとおしておきましょう。

 

プレイスメント・テスト

 

プレイスメント・テスト(Placement Test)は、科目を登録するにあたってのレベル分けテストです。

 

通常はオリエンテーション期間中に行われ、だいたい英語・外国語・数学のテストが行われます。

 

外国語は留学生には必須ではないので、テストも免除されます。

 

ESL (外国人のための英語クラス)を設けている大学では、留学生のみを対象とした英語のテストが行われ、その結果によって、ESLのレベルや数が決められます。

 

ESLの科目を設けていない大学では、アメリカ人と一緒のテストを受けます。

 

日本人は文章力やボキャブラリーではアメリカ人にはとうてい及びませんが、やはり文法は得意で、ときにはアメリカ人よりも文法ではいいスコアをとります。


数学のプレイスメント・テストは、日本の高校を出た人にとってはさほどむずかしくありません。

 

だいたい日本の中2〜高1くらいのレベルです。

 

しかも電卓を使ってもOKというのがアメリカ流。

 

気をつけたいのが、ここであまりに高いスコアをとると、微分積分(Calculus)レベル以上の上級クラスに入れられてしまうかもしれないこと。

 

ビジネス専攻の人は微分積分は必須ですからかまいませんが、そうでない人がいきなり微分積分をとるのはちょっと無謀です。

 

一概には言えませんが、数学のプレイスメント・テストでは、日本人は少し手加減をするくらいがちょうどいいようです。

 

科目の登録


科目の登録(Registration)は、オリエンテーション期間中かその直後に行います。


科目選びは、あなた一人で決めてしまうのではなく、必ず「アカデミック・アドバイザー(Academic Advisor) 」と相談しながら決めます。

 

アカデミック・アドバイザーとは、履修登録のアドバイスをしたり、GPAにつねに気を配り、あなたがうっかり落ちこぼれてしまわないように指導したりする人のことです。

 

個々の学生に一人のアドバイザーが割り当てられます。

 

アドバイザーは、あなたが卒業するまで、科目登録の相談にのるだけでなく、学業全般にわたってアドバイスをしてくれる、とても頼れる存在です。

 

まずは、「仲よくしておきたい存在」の一人です。

 

大学によっては、とくに留学生のためだけの「留学生アドバイザー(Foreign Student Advisor) 」を置いています。

 

このアドバイザーは、科目のとりかたはもちろん、学内でのトラブル、ビザや国内および海外への旅行について、その他、留学生特有のさまざまな問題について幅広くサポート、アドバイスをしてくれます。


たいていのことは相談にのってくれるので、大変心強い存在です。

 

どんな科目を選択すればいいの?

 

科目選択にあたっては、無理してむずかしい科目ばかりをとらないこと。

 

アメリカの大学は、成績が悪い学生に対しての処置が厳しいので、まずは好成績を修めることを優先させて、とくに初年度は、何とかついていけそうな科目を選ぶよう心がけます。

 

数学やアートは英語力がなくてもやっていけます。

 

アメリカの大学で教えられる数学のレベルは日本と比べるとそれほど高くありませんし、絵画のクラスではともかく絵を描いていれば成績をつけてくれます。

 

音楽や体育、そしてフランス語やスペイン語といった外国語の科目も、アメリカ人と同等にやっていける科目です。


また、自分の得意とする科目・好きな科目であれば、多少の英語のハンデがあったとしても、積極的に乗り越えようと努力をするでしょう。


一方で、たとえば文学や歴史といったリーディングの多い科目や、専門知識が必要となる経済学や心理学などは、かなりの英語力が求められるので、最初の学期では避けたほうがいいでしょう。

 

ただし最初の学期であまり簡単な科目ばかりとってしまうと、2学期目以降にむずかしい科目が集中してしまいますので、バランスも考慮して科目選びをしましょう。

 

できれば授業前に、入学する大学のカタログやWEBサイトを確認して、科目選びの予行演習をしておくことをお奨めします。

 

科目選択を終え、アドバイザーの許可を得たら、Registrar's Office (科目登録を扱うオフィス)で、あるいは電話・オンラインで科目登録を行います。

 

最近はオンラインで登録するのが主流です。

 

科目登録の翌日はもう授業です。

 

大学に到着してほんの数日しかたっていませんが、頭も体も、勉強モードにスイッチオン!