アメリカの大学では、アートや音楽をまったくの初歩から勉強することができますが、これらの分野を芸大や音大など「アートの専門大学」で学ぶためには、ポートフォリオ(Portfolio)やオーディション(Audition)が求められます。
ポートフォリオは、出願者の代表的な作品集といったもので、絵画、彫刻、写真など、大学から指定されたジャンルや媒体のものを送ります。
日本からはスライドを送ることが多いのですが、現物を送らなければならないこともあります。
音楽、ダンス、演劇を専攻する人には、オーディションを受けることが求められます。
自分が専攻する楽器を演奏したり、ダンスや演劇の場合は、基本的な動きを披露したりインプロピゼーション(即興)をしたりです。
出願する大学に赴いてオーディションを受けるのが原則ですが、日本人の場合はCDやDVDなどのメディアを送付すればOKとする大学も少なくありません。
ポートフォリオやオーディションは、芸術や音楽の専門大学では合否決定に大きく影響します。
またポートフォリオやオーディションが出色の出来であれば、英語のハンデは大目に見てもらえるでしょう。
なぜなら大学は、一人ひとりの学生の、音楽やアートの天性を開花させることを強く望むのであって、誇りをもって卒業生を世に送り出すことを喜びとしているからです。
英語は、極端な話、アメリカにいればだれでもできるようになります。
しかし芸才というものはだれにでも具わっているものではありません。
大学はポートフォリオやオーディションをとおして、その得がたい「天性」を見ようとするのです。
蛇足ですが、日本人の芸術的な感性や手先の器用さは、アメリカでは一般に高く評価されています。
日本では美術が苦手だったという高校生が、アメリカの大学でアートにめざめるというケースは少なくありません。
日本の高校で理系だった子が、リベラルアーツ・カレッジでダンスと経済学をダブルメジャーにしたり、文系だった子がアメリカでグラフィックデザインを専攻したり、といったケースです。
詳しくは『芸術留学in USA』『音楽留学in USA』 (共に三修社・刊)をお読みください。