これまで再三述べてきたように、アメリカの大学には一斉の入学試験がありません。
成績、エッセイ、推薦状などさまざまな要素を総合的に判断して合否が決められます。
ここに紹介するテストスコアも、合否にかかわるさまざまな要素の一つに過ぎません。
アメリカには日本のセンタ一試験にあたるテストはありませんが、大学進学を控えた高校生が受ける、全国統一のテストがあります。
これはStandardized Testといって、全国統ーではあるものの、民間企業・団体によってつくられています。
その代表的なものが、
これら二つのテストです。
このほかに留学生が受けるStandardized Testとして
があります。
アメリカの大学の多くが、SATかACTいずれかのスコア提出を求めています。
両方のテストを受けなければならないとする大学はありません。
またコミュニティ・カレッジではSAT・ACTいずれのテストも課していません。
留学生は必ずTOEFLテストを受けなければなりませんが、名門大学ではSAT(まれにACT)の受験も課されます。
これらStandardized Testは、全米レベルの学力を測る目的でつくられています。
地域によって教育レベルの差が大きいアメリカでは、高校によって成績のつけられかたはまちまちです。
最近では、高校の成績が極端に甘くつけられるようになってきていて、High School GPAの妥当性が疑われてきています。
入学生のSATスコア
Vanderbilt University (名門私立総合大学) |
Mount Holyoke College (名門女子大学) |
|||
スコア | 読解 | 数学 | 読解 | 数学 |
700以上 | 35.7% | 48.5% | 20% | 9% |
600〜700 | 51.4% | 43.0% | 50% | 45% |
500〜600 | 12.2% | 7.8% | 25% | 40% |
500以下 | 0.8% | 0.6% | 6% | 6% |
また、とくにClass Rankは、あくまでその高校の在校生を比べて評価したに過ぎません。
そういう意昧では、SATやACTのほうが、全国的なレベルでの評価ができるということになります。
とはいうものの、学校の成績以上にテストスコアを重視する大学はありません。
先に述べましたように、「真の学力」はテストの結果ではなく、日ごろの学習の積み重ねによって測られるものです。
そしてそれが如実に表れるのは高校の成績表です。
高校の勉強や課外活動を犠牲にしてまで、テスト勉強に時間を費やすのは望ましくありません。
まして大学がSATやACTのスコアだけで合否を決めることはありません。
ごく一部の州立大学をのぞいて、○点以下だと自動的に不合格ということもなければ、○点以上のスコアであれば自動的に合格になるわけでもありません。
上の表を見てもわかるように、同じ大学でも入学生のSATスコアにはかなりのバラつきがあります。
たしかに州立大学はテストスコアをけっこう重視しますが、私立大学はあくまで参考にするのみです。
Bates CollegeやBowdoin College、Hampshire Collegeなど、北東部の名門リベラルアーツ・カレッジはSATスコアの提出すら求めていません。
SATはScholastic Aptitude (Assessment) Test (「進学適性テスト」の意)の略で、1926年につくられた、最も古く、また最もポピュラーなStandardized Testです。
SATには、
の2種類がありますが、留学生に対しては、ほとんどの大学ではSAT Reasoningのスコアのみを要求しています。
SAT Reasoningのスコアは、3セクションそれぞれ200〜800点で算出されます。
アメリカの高校生の平均スコアは、読解が501、ライティングが493、数学が515。
600以上で"Good"、700以上であれば"Great"と見なされます。
アイビーリーグ大に合格した高校生の3分の2が、読解と数学の合計で1400点以上をあげています。
Greatなスコアをとった人ばかりかと思いきや、3分の1はGood以下のスコアで合格しているのです。
たとえばブッシュ元大統領のSATスコアは読解が566、数学が640でしたが、名門Yale Universityに入学しています。
それはやはり他の要素(とくに父も祖父もYale卒であったこと)が卓越していたからです。
SATはあくまでアメリカの高校生を対象としていますから、ライティングや読解は普通の日本人には太刀打ちできません。
日本人の場合は、英語はTOEFLのほうで評価されますから、数学のセクションでいい点をとるようにしましょう。
数学用語さえきちんと覚えておけば、満点も期待できます。
SATは年に6回(1月、5月、6月、10月、11月、12月)実施され、日本では主要都市のインターナショナルスクールなどで受けられます。
受験申込はCollege Boardのサイト(http://www.collegeboard.com)にてオンラインで行います。
またこのサイトではPractice Testも受けられますので、ぜひ活用してください。
ACTはArnerican College Testの略で、SAT同様に、アメリカの高校生が受けるStandardized Testです。
英語、数学、読解、自然科学の四つのセクションから成り、全部で215の選択肢問題が問われます。
スコアは36点満点で、27点以上だとそれなりによいスコアだと見なされます。
日本では年に5、6回、主要都市あるいは米軍基地内のアメリカンスクールなどで受けられます。
受験要綱は日米教育委員会に請求し、受験申込はテスト会場ごとに個別に行います。
※返信用封筒:角2号(24 x33cm) に、住所、宛名を明記し、240円切手を貼付して送付。
「ACT申込書希望」であることを付記すること。
大学進学を考えている高校生は、SATかACTのいずれか、あるいは両方のテストを受けています。
どちらのテストも年に5、6回受けられ、全米の高校と世界各地のインターナショナルスクールが試験会場になっています。
よりポピュラーなのはSATのほうで、受験者は毎年180万人にものぼります。
ACTの受験者数は年間約120万人。
中西部や南東部の大学はACTを好む傾向がありましたが、いまでは全米どの大学でもSATとACT両方のテストを受け付けています。
一方で北東部には、SAT・ACTいずれのテストスコアをも重視しないという大学が少なくありません。
伝統ある私立大学ほど、数字「以外」の要素――エッセイ、推薦状、課外活動、面接など――を重く見ます。
設問について両テストを比較すると、ACTのほうがより具体的で、SATのほうは抽象的なことが問われます。
またACTのほうがより高校のカリキュラムに沿って問題がつくられているのに対して、SATでは"Reasoning"つまり「論理的思考能力」が問われます。
ACTは文法と句読法を聞いますが、SATのほうは語彙に力を入れています。
SATで問われるボキャブラリーのむずかしさは、アメリカ人でも悲鳴をあげるほどです。
SATとACT、どちらを受けたほうがいいのか―――アメリカの多くの高校生でも悩むところですが、いずれを受けてもかまいません。
ACTしか受け付けない、SATしか認めない、という大学はありません。
アメリカの大学にとっては、高校の成績の重要性に比べたら、テストの選択は取るに足らないことです。
テストのタイプが異なるので、両方を受けて、よいスコアのほうを大学に提出するという高校生もたくさんいます。
日本人の場合は、SATを受ける人のほうが圧倒的に多く、ACTには馴染みがないという人がほとんどです。
ただ、「日本の高校生は、より具体的なことが問われるACTのほうが得意だ」とも言われます。
SAT・ACTともに 大変なボリュームのテストではありますが、余裕のある人は両方を受けてみては?
(CollegeBoardによる)
ACT | SAT(読解 + 数学) |
35 | 1580 |
30 | 1340 |
25 | 1140 |
20 | 950 |
アメリカの高校生の多くは、Juniorの秋(10月)にPSAT(Preliminary Scholastic Aptitude Test)というテストを受けます。
PSATはSATの縮小版で、いわば模擬テストですが、この結果はNational Merit Scholarship (全米レベルの奨学金)の審査に影響するので、奨学金を狙っている高校生にとっては重要なテストです。
なお日本人がPSATを受ける必要はありません。
そして本テストであるSATは、Juniorの春に1回+Seniorの秋に1回=計2回、受験するのが一般的です。
大学は一番高いスコアしか見ませんから、スコアが上がる見込みがあるのであれば、3回以上受験してもかまいません。
しかし多くの場合、3回以上受けても大幅なスコア上昇は望めないようです。
またACTも、SAT同様に、Juniorの春に1回、Seniorの秋に1回、計2回受けるのが一般的です。
TOEFLはTest of English as a Foreign Languageの略で、アメリカやイギリスなど英語圏の大学が、英語を母国語としない出願者の英語力を測るためにつくられたテストです。
日本でもとてもポピュラーなテストで、年間12万もの日本人(延べ)が受けています。
TOEFLテストのスコアは、出願者が英語での大学生活をスムーズに送るために必要となる英語力をもっているかどうかを大学が判断するにあたっての、一つの目安です。
出される問題も、大学の講義に関することや寮生活、科目登録など、大学キャンパスを舞台とすることばかりです。
大学は、英語が母国語でない出願者には、必ずTOEFLスコアの提出を求めています。
しかし、それだけで合格になったり不合格になったりすることはありません。
アメリカの大学は語学学校と違って、あくまで「学力」があるかどうかを重視します。
英語の出来・不出来だけでは合否を決めません。
「TOEFL=入学テスト」ではないのです。
TOEFLは、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングという4つのセクションから構成され、試験会場のコンピュータを使用して受験します。
所要時聞は4時聞から4時間半で、スコアは0ー120点で算出されます。
リーディング・セクション(60ー100分、0ー30点)
700単語くらいの文章題が3ー5つ出題される。
各文章題に選択問題、文を挿入する問題、グループ分けする問題など、12ー14問。
リスニング・セクション(60ー90分、0ー30点)
3分くらいの会話が2ー3つ出題される。
各会話が3分くらいの長さで、それぞれ約5問。
また、3ー5分くらいの講義を聴き、各講義に対し約6問。
質問形式は、選択問題と表を完成させる問題など。
スピーキング・セクション(約20分、0ー30点)
スピーキング単独の問題が2つ出題され、好みとその理由を述べる問題と、賛成する意見とその理由を述べる問題。
準備時間は15秒で、45秒で回答する。
また、読んで聞いて話すという問題が2つ出題され、要約するものと質問に答えるというもの。
準備時聞が30秒で、60秒で回答する。
さらに、聞いて話すという問題が2つ出題され、要約するものと質問に答えるというもの。
準備時聞が20秒で、60秒で回答する。
ライティング・セクション(50分、0ー30点)
読んで・聞いて書くという問題が1つ出題され、20分で要約する。
また、30分で自分の意見を書く問題が1つ出題される。
さて、大学によって61を入学基準としていますが、あくまでも目安と考えたほうがいいでしょう。
ごく普通の日本の高校生であれば、61もあれば上出来です。
またそれに満たなくても心配いりません。
日本では主要都市で毎月複数回受けられます。
大学は一番高いスコアを見てくれるので、何回か受験するつもりで、まずは力試しに一度、受けてみるといいでしょう。
初めて受けた結果がさんざんだったとしても、気を落とさないこと。
留学の成功のカギを握るのは英語力ではなく、あなたの熱意とやる気なのですから。
受験に際しては、まず、インフォメーションブリテン(受験要綱)を確認します。
インフォメーションブリテンはTOEFLの公式サイト (http://www.toefl.org) で閲覧・ダウンロードできます。
次に、TOEFLの公式サイトでMy Home Pageを作成し予約します。
予約の際には希望日時と受験会場を選択し、受験申込期限は7日前です。
受験料の支払いのためにクレジットカード番号などを入力します。