A アメリカ人はどのように大学進学準備をするのか

大学進学カレンダー

11年生:Junior Year

(日本の高校生の高2の2学期〜高3の6月にあたる)

9月

・ガイダンスカウンセラーに会い、自分が高校でとっている科目の単位数が大学の入学に必要な単位数を満たしているかを確認する。

 

・課外活動(クラブ、生徒会、ボランテイア、委員会など)一つか二つは参加するように心がける。

10月

PSATの申込をし、受験する。

11月

・できるだけよい成績をとるように心がける。

 

 よい成績をとれば出願する大学の幅も広がる。

12月

・地域のボランティアに参加するように心がける。

 

・新聞や雑誌のニュース記事を読み、時事知識をつける。

1月

・ガイダンスカウンセラーに会い、いつACTSATを受けるか決める。

 

・引き続きよい成績をキープする。

2月

・Seniorの授業計画を立てる。

 

・どの先生に推薦状を頼むか考えはじめる。

3月

・春に受験するACTやSATの申込をする。


・ガイダンスカウンセラーと学校選択について話し合う。


・成績とテストの点数を参考に、ガイダンスカウンセラーと相談しながら、どのくらいのレベルの大学に出願するかを考える。


・インターネットや本でさまざまな大学を検索し、15〜20校くらいに絞る。


・志望校のキャンパスを訪問する。


学期中に訪問するのが一番 (テスト期間中は除く)。

 

夏休みに訪問するのもよいが、学期中と雰囲気は異なる。

 

なお秋学期 (9-12月)の大学訪問は非常に混雑するので、前もって計画を立てるように!

 

大学訪問の際に面接を受けたら、必ず後日お礼の手紙を送ること。

4月

・ACT、SATの春受験。

 

・出願する大学リストを作り、日常生活、課外活動、学業面で成し遂げたこと (自己アピールのネタ)をピックアップし、また出願書類に必要な情報収集を始める。

5〜6月

・学校訪問と説明会の計画を立て、大学にコンタクトをとる。


・夏休み中の夏期講習、旅行、ボランティア活動やアルバイトの計画を練る。

 

・秋学期にとる授業の最終確認をする。

 

夏休み

・大学に願書の請求をする。

12年生:Senior Year

(日本の高校生の高3の2学期〜翌年6月にあたる)

9月

・必要に応じて、ACT、SATを申し込む。

 

・ガイダンスカウンセラーと相談しながら、秋の大学訪問スケジュールを確認する。

 

・自分をよく知っていて、よい推薦状を書いてくれそうな先生に推薦状をお願いする。

 

・ガイダンスカウンセラーに会い、最終的に受験する大学のリストを作る。

10月

Early DecisionまたはEarly Actionで出願する大学には、ガイダンスカウンセラーと書類を最終確認して、郵便またはオンラインで願書を送る。

 

・自分の記録のために願書をコピーしておくこと。

 

・成績・卒業証明書、推薦状、奨学金申込などの締切日をしっかり記録しておく。

 

 絶対に遅れないように!

11月

・ACTやSATのスコアが、出願大学に届いているかを確認する。

 

 届いていない場合、スコアのレポートを申し込む。

 

・すべての願書を提出する。余分にコピーすることを忘れずに。

12月

・引き続き必要であれば、ACTやSATを受ける。

 

・ガイダンスカウンセラーに会い、全書類が提出されているか確認する。

2月

・出願した大学に最新の成績表を送る。

 

・願書に書かなかった業績、よい記録があれば出願大学に知らせる。

3月

・合否を待つ。

4〜5月

・合格した大学それぞれの合格条件と奨学金の内容を比較検討する。

 

・合格をもらった上位1、2校をもう一度訪問してみる。


・入学を決めた大学に連絡をし、5月1日までにDeposit(予約金。)を支払う。

 

・入学しない大学に連絡し、入学しない旨を伝える。

6月

晴れて卒業!

9月

大学に入学!


アメリカの高校は四年制が多い

 

アメリカのU.S.News誌U.S.News & The World Report Best Colleges [US] No. 32 2014 (単号) などによりますと、アメリカの高校生が大学進学のために準備しなければならないことが、9年生(日本の中3)からいろいろ書かれています。

 

アメリカは「6・3・3」よりも「6・2.・4」「8・4」という学制になっていて、高校は四年制というのがとても多いのです。

 

一般に9年生をFreshman、 10年生をSophomore、11年生をJunior、12年生をSeniorと呼びます。

 

Freshmanは日本の中3にあたります。

 

上記の「大学進学カレンダー」は、11年生と12年生のスケジュールです。

日米の学制と学年の呼びかた

日本 アメリカ
中学校 中学1年生 Junior High School 7th Grade
中学2年生 8th Grade
中学3年生 Senior High School 9th Grade (Freshman)
高校 高校1年生 10th Grade (Sophomore)
高校2年生 11th Grade (Junior)
高校3年生 12th Grade (Senior)

 

まず、9〜10年生のときにガイダンスカウンセラー(日本の進路指導の先生にあたります)のところに行って、大学進学に必要な、とっておかなければならない科目の相談をします。

 

アメリカの高校ではかなり自由に科目を選べます。

 

何しろ自動車免許取得のための科目なんかもあるくらいで、大学に進学しないのなら、かなり職業的な科目ばかりとることも可能なのです。

 

ハーバードあたりを狙うのと、コミュニティ・カレッジに行くつもりなのとでも、科目の選びかたは変わってきます。

 

一般に、高校の間にとっておかなければならない基本的な科目は次のようなものですが、コミュニティ・カレッジなどに行く場合は、高卒の証明書があれば十分です。

高校のときにとっておくべき科目

4年間の国語

4年間の数学

3年間の歴史・社会科学

3年間の理科

2年間の外国語

 

課外活動の大切さ

 

次に、クラブ活動、生徒会などのアクティビティおよびボランティア活動に参加せよ、とすすめられます。

 

そういうものを通じて自分のユニークな興味や能力、それにリーダーシップを伸ばせ、というのです。

 

何しろアメリカ人は、このリーダーシップというのが大好きなのです

 

(もちろんアメリカで一番リーダーシップを発輝する人は大統領です)。

 

こういった経験や能力は、エッセイ(出願のための作文。)を書くときや面接を受けるときに、本人の熱意とやる気をアピールするのにも役に立つわけです。

 

ほとんどの高校生はJuniorやSeniorになってからあわてて課外活動を始めますが、それではエッセイがどこか嘘っぱちになってしまうとよく注意されます。


まあ、どこの高校生もお尻に火がつかないとできないのは、世界共通のことです。

 

テストについて

 

一番大切なこととは、よい成績をとることです。

 

何しろ一斉の入学試験がありませんから、成績をよくしておくことはとても大切で、ハーバードあたりになるとストレートAの高校生がずらりと願書を出してくるのです。


Juniorになると、PSAT (※1)というテストを受けてガイダンスカウンセラーに進路を相談します。

 

アメリカには全国共通テスト(※2)があります。


SATというテストと、ACTというテストです。

 

それぞれ年に5、6回受験できます。

 

SATは、SAT ReasoningとSAT Subjectがあり、SAT Reasoningは国語と数学のテスト、SAT Subjectは科目別のテストで、各大学が科目を指定します。

 

多くの大学はSAT Reasoningのみで大丈夫です。

 

コミュニティ・カレッジなどはこのSATもまったく要求していません。

 

また、アメリカにはSATなどテストの指導を行う予備校が、都市部にはありますが、それにみんなが熱心に通うなんてことはありません。

 

日本の塾はアメリカでも"Juku"と言っています。

 

何しろSATのスコアのみで大学への入学が決定されるわけでもありませんし、何度も受けられますので、SATのために必死に勉強するという考えはありません。

 

U.S.News誌U.S.News & The World Report Best Colleges [US] No. 32 2014 (単号) にも、学校の成績を上げろとかクラブ活動をしろ、とかいうのはうるさく書いていますが、SATのために勉強しろ、というのは強調されていません。

 

また同誌には、新聞や本を読むこと(ボキャブラリーを増やすのにとても大切)、自分の将来について両親と話したり、興味のある仕事について、その仕事をしている人を訪ねたりするのがよいということも書いてあります。

 

(※1)PSAT Preliminary Scholastic Aptitude Testの略。

 

以下のSATの縮小版で、いわば模擬テスト。

 

アメリカの高校生はJunior(日本の高2)の秋にこれを受ける。

 

(※2)全国共通テスト アメリカではStandardized Testという。

 

代表的な共通テストはSAT (Scholastic Aptitude Test)とACT (American College Test)で、アメリカの高校生はJuniorからSenior(日本の高3)にかけてこれらのテストを受ける。

 

いずれも日本でも受験できる。

 

SATは読解・ライティング・数学のセクションからなり、それぞれ800点満点、3セクションあわせて2400点満点。

 

大学選びと出願

 

Juniorの後半、3月ごろになって進学準備も少し本格化してきます

 

(アメリカは9月〜翌年5月で1年度です。

 

Juniorの3月は、日本では高2の3学期にあたります)。

 

頻繁にカウンセラーに会い、大学選びを始めます。

 

Seniorの新学期(日本の高3の2学期)、9月になると、いよいよカウンセラーや両親とともに、大学を絞っていかなければなりません。

 

だいたいチャレンジ校、実力相応校、すべり止め校の三つのタイプに分けて考えていきます。


4〜6校くらい出すのが一般的です。

 

早い大学ですと11月に出願を締め切りますが、だいたい1〜3月に締切が集中しています。

 

Rollingといって、とくに締切を定めていない大学もありますが、高校が終わる5〜6月までには、願書を出し切ってしまいます。

 

日本のように、何月何日テスト、何月何日合格発表というようなものはありません。


3〜5月に合否の通知が郵送で届きます。

 

本腰を入れるのはSeniorになってから

 

このように大学入試に対しての一応のガイドラインはあるのですが、やはり、本格的に動き出すのは、みんなSeniorになってから、というのが実際のところです。

 

用意周到なお家では、SophomoreとJuniorの間、あるいはJuniorとSeniorの間の夏休みに、面接を兼ねて大学見学に行ったりもしますが、やはり、Seniorになって、ソレっということになるわけです。

 

エッセイは書かなければならない、SATは受ける、推薦状は頼む、といったようなことがワ一っと押し寄せてきます。

高校1、2年のときは、漠然とアイビーリーグや、州でトップの大学を夢見ていた人たちも、Seniorの9月の時点では、カウンセラーに現実を知らされることになります。  続き