留学生は、学生ビザを発給されて、アメリカに入国します。
つまり、学生として長期の滞在を許されて入国するのです。
ですから、アメリカ滞在中は原則としてアルバイトはできません。
学生ビザでアルバイトをするのは移民法に違反することになります。
ただし、留学生でも合法的に働ける方法が、大きく三つあります。
@キャンパス内で働く方法、Aインターンシップ、そしてBプラクティカル・トレーニングです。
キャンパス内でアルバイトをすることは留学生にも許されています。
先ほど挙げたRAなどはその一例ですが、ほかにもポストオフィスの受付やBookstoreのレジ係、食堂の配膳係、図書館の書架整理係、キャンパスセキュリティ(キャンパス内を巡視する警備員のようなもの)、清掃員、キャンパスガイド、各教授のアシスタントやAdmissions Officeをはじめとする各オフィスの事務アシスタントなど、じつにさまざまな現場で学生が働いています。
しかしながら、留学生はアメリカ人に比べてよほど勉強が忙しいので、なかなかアルバイトをする時聞がないのが実状です。
また、留学中はとても質素な生活を送るので、アルバイトの必要性も深刻ではありません。
たしかに、いくら時給が安くても、また週にわずか数ドルしか得られないとしても、それはそれでいい経験になります。
だからといって、キャンパス内でアルバイトをしているせいで勉強がおろそかになったとか、とにかく小遣いを稼ぐことが第一で本来の学生生活から離れてしまったとかでは困ります。
アルバイトをするのであれば、それをお金稼ぎと考えずに、経験そのものに価値をおいて、なるべく時間拘束の少ないものを選ぶようにしましょう。
アメリカで留学生が働くことのできるもう一つの機会が、インターンシップです。
企業研修のことで、週に働く時間数によって単位を得ます。
原則的には無償です。
インターンシップは、専攻学科の必修科目あるいは選択科目として履修するれっきとした「科目」です。
インターンシップが必修となっている専攻は、経営学やソーシャルワークといった実学に近いものが多く、反対に哲学や文学など純粋学問的な分野は、インターンシップは必須ではありません。
インターンシップの大きなメリットは、実際に社会に出て働く経験をもつことで、それを卒業後、就職の際に生かせるということにあります。
実習先の企業とのコネクションもできますし、自分がどういった職種に向いているのか、その指針をたてる際にもインターンシップの経験が役に立つことでしょう。
インターンシップをするには、具体的には自分の専攻する学科で提供されている「インターンシップ先のリスト」の中から、自分の希望する企業を選び、審査を受けます。
もちろん、最終的にその学生をインターンとして雇うかどうかの決断は、企業がします。
大学や専攻によっては、そうしたリストだけではなく、学生が自由にインターン先を選び、直接その企業と交渉し、大学がその企業をインターン先として認める、といった手続をとることもあります。
成績は、インターンシップ先の企業や団体の担当者による評価と、たいてい毎週提出が課せられるジャーナル(報告書)の内容などで決められます。
専攻によっては1学期がまるまるインターンシップだけに費やされることもありますが、そんな機会を利用して日本にある日本の企業でインターンシップをする人もいます。
実家から会社に通いながらアメリカ大学の単位を取得する、ということもできてしまうのです。
プラクティカル・トレーニングは、アメリカの移民局に労働許可証(Employment Authorization Document : EAD)を申請し、許可が下りれば1年間は自分の専攻分野に関係する職業においてのみ働くことができるというもので、だいたい「卒業後1年間働けるシステム」と理解されています。
お給料はもらえたりもらえなかったりです。
プラクティカル・トレーニングの申請許可が下りて、働き口を見いだしたとしても、ビザの種類は学生ビザです。
また、これはあくまでも「働いてもいいですよ」という許可を与えるものです。
90日以内に就労先がみつからない場合、アメリカを出国しなければなりません。
このプラクティカル・トレーニングは多くの留学生が活用しています。
通常、卒業して働くには「H1ビザ」という就労ビザが必要になりますが、プラクティカルトレーニングはH1がなくても1年聞は働けるので、この1年の間になんとかコネクションをつくって、将来H1ビザを得て働くことができるよう基盤づくりに励む留学生がたくさんいます。
将来アメリカで就労するつもりがなくても、1年間アメリカで働くこと自体、とても貴重な経験になるでしょう。