第V章 大学選び&出願

4,000もあるアメリカの大学。

 

その中から自分に適した大学を選び出すのは、なかなか大変な作業です。


まず、アメリ力の大学には偏差値にあたるものがありません。

 

大学のレベルを数字で測ろうとする考えかたそのものが存在しないので、偏差値のような数値を目安に大学を選ぶことができません。


入学時に専攻を決めなくてもよいというのも、日本の大学とは異なるところです。

 

文系・理系という区別もありません。

 

日本のように、一つの大学の複数の学部に出願するということもありません。

 

芸術や体育も、普通の大学で学べますので、「芸術専攻だから芸大」「体育専攻だから体育大」という選びかたにはなりません。


大学選びは、アメリカの高校生にとってさえ大変なプロセスです。

 

日本の高校生にいたっては言うに及ぱず。

 

一体何を手がかりにしてよいのか、何から始めればよいのか、まったく見当がつかないという人も少なくないはずです。


そこで本章では、すべての高校生が戸惑う「大学選び」を徹底的にガイドし、あわせて出願から入学手続までのプロセスを解説したいと思います。

 

志望校選びに焦りは禁物です。

 

しっかり時聞をかけて、あなたにとって最適な大学選びをしましょう。

1 情報収集&カウンセリング

教育システムと留学の現実を知る

卒業を目的として長期間アメリカに留学する場合、まずはアメリカの教育システムと大学のありかたについて、そのあらましを知る必要があります。

 

アメリカの大学の教育理念は何なのか、どんなところに力を入れているのか、といったことについてです。

 

次に、留学の現実を知らなければなりません。

 

たとえば、

・留学に要する費用とその内訳
・卒業までの年数
・アメリカの大学の環境とキャンパスライフ
・卒業後の就職と進路のオプション
などです。


遠回りのようですが、

「1.アメリカの教育システムと大学のありかた」

「2.留学の現実」

について理解したうえで、本当にアメリカの大学に行きたいかどうかを、もう一度よく考えてみましょう。


また、アメリカの大学にあなたは何を期待するのか、どんなことにチャレンジしてみたいのか、といったことにも思いをめぐらせます。

 

どのような教育環境があなたに向いているのか――厳しい環境に飛び込んだほうがいいのか、それともフレンドリーで和気あいあいとした雰囲気の中で、自分のペースで勉強するほうがいいのか、など――についても、大まかなイメージを抱いてみましょう。

 

アメリカの高校生も、まず「自分自身を知る」ことから大学選びをスタートさせます。

 

教育システムと留学の現実は、親御さんにも理解していただきましょう。

 

そしてあなたの留学への応援をしっかり得てください。

 

親子ともども留学への決意をかためることで、地に足をつけて進学準備を進めることができます。


留学説明会とカウンセリング

アメリカの教育システムや大学のありかたは、すべて当サイトに述べられています。


したがって当サイトを読めば、留学の準備を始めるにあたっての必要な情報を十分に得られることになります。

 

とりわけ「基礎編」にはよく目を通しましょう。

 

留学の基礎知識・情報を得るのに、ほかにも以下の手だてが考えられます。

 

いずれの方法をとるにしても、その情報が

@アメリカの大学への留学についての情報であること
A卒業をめざした留学についての情報であること
を確認してください。

 

「留学」と一言でいってもアメリカ留学とオーストラリア留学とではまったく違いますし、卒業をめざした留学(いわゆる正規留学)と語学留学とでも、出願プロセスが大きく異なります。

 

とくにインターネットでは、さまざまなかたちの留学が一緒くたに扱われていて、調べれば調べるほど何が何だかわからなくなってしまいがちなので、くれぐれも気をつけてください。

1 留学講演会・セミナーに移加する

留学機関などが主催するセミナーやフェアに参加して、情報を得ます。

 

日米教育委員会が留学説明会や相談会を開いているほか、「栄陽子留学研究所」でも、東京と大阪で無料の留学講演会やオープンセミナーを定期的に催しています。

 

セミナーは、あなた自身の「留学の適性」つまり、あなたにとって留学は向いているのか、ということを考えるきっかけになるものです。

 

留学エージェントが催すセミナーには、ともかく「留学をすすめる」ものが少なくありませんが、焦らず冷静に、あなた自身の留学の適性を探ってください。

2 インターネットを利用する

アメリカ留学を扱ったWEBサイトは数え切れないほどにたくさんあります。


それらのうち、教育システムについて書かれているのは、日米教育委員会などの公的機関のサイトと、留学エージェントのサイトです。

 

公的機関のサイトのほうは情報はたしかですが総論的すぎてつかみどころがなく、一方で留学エージェントのサイトはわかりやすく書かれていてもどうしても客観性に欠け、ともするとエージェントの宣伝に都合のよい情報だけが書かれていたりして、一長一短です。

 

また留学を経験している人が開設しているホームページも少なくありません。


インターネットでも留学について盛んに意見が交わされています。

 

こうした個人の見解も参考にはなりますが、的はずれなこともしばしば書かれています。

 

何でもかんでも鵜呑みにすると、かえって混乱してしまうので、ご用心。

 

とくに「○○大学がオススメ」といったコメントには目を奪われないようにしましょう。

 

また

「アメリカの大学に行くならまず語学学校から」

「留学するならTOEFL100が必要」

というのも間違った常識です(留学に必要な英語力については第皿章を参照してください)。

 

大切なのは「情報収集」と「大学選び」を混同しないこと。

 

いまはまだ、ある特定の大学に飛びつく段階ではありません。

 

あくまで留学の全体像をつかむことだけに集中しましょう。

 

くれぐれも情報の洪水に呑まれてパニックにならないように。

 

【日米教育委員会】http://www.fulbright.jp/

3 出版物を利用する

当サイトを読めば十分!と言いたいところですが、ほかにもアメリカ留学について書かれた本はたくさんありますので、参考にするのもいいでしょう。

 

ちょっと英語に自信がある、という人は以下に掲げる、アメリカの高校生ならみんな知っている「定番」書籍にトライしてもいいかもしれません。

 

いまではAmazonなどで簡単に、また安価に洋書が手に入ります。

 

本を選ぶ際には、刊行が最近であること、アメリカの教育システムがきちんと解説され、留学のむずかしさも含めた現実がしっかり書かれていることを確認してください。

アメリ力の高校生の「定番」図書

The Best 378 Colleges, 2014 Edition (College Admissions Guides)  Princeton Review刊

 

College Handbook 2015  The College Board著・刊

 

Fiske Guide to Colleges 2015  Edward B. Fiske著 Sourcebooks Inc刊

 

The Insider's Guide to the Colleges 2015  Yale Daily News (編さん)  Griffin 刊

 

Four-Year Colleges 2015 (Peterson's Four Year Colleges)  Peterson's著・刊

 

Two-Year Colleges 2015 (Peterson's Two Year Colleges)  Peterson's著・刊

 

Profiles of American Colleges 2015  Barrons Educational Series Inc著・刊

 

4 友人・知人・親戚などから話を聞く

アメリカの大学に留学した経験のある人が身近にいれば、その人から生きた情報を得られるでしょう。

 

しかし、やはり個人的な経験の中での情報に過ぎないということは、よく心得ておきましょう。

 

留学した時代や地域、環境、学んだ分野が異なれば、それだけ留学のかたちは異なりますし、大学留学と大学院留学とでも、まったく別の体験になるはずです。

5 カウンセリングを受ける

いくらインターネットや本から情報を得たところで、留学への不安が消えることはありません。

 

本やインターネットからでは、「結局『私は』留学できるのか?」がわからないからです。

 

その「私は?」に答えるのが留学カウンセリングです。


カウンセリングでは、「留学すべきか否か」ということを含めて、すべきならどういう形で留学するのがベストなのか、これからのあなたの長い人生のなかで考えます。

 

カウンセリングはしたがって一対一で行われます。

 

とくに卒業をめざした留学は、年数も4年と長くなり、あなたの将来に大きく影響を及ぼします。

 

ですからカウンセリングでは、「入学する」ことだけを考えるのではなく、長い教育の中で留学を位置づけ、一人ひとりの人生に最も望ましいかたちでの留学を考えます。

 

カウンセリングを受けることで、まるで雲が晴れたように、留学が現実のものとして見えてきます。

 

そしてあなただけのいわば「オンリーワンの留学」の方向性が定まり、自信をもって進学プロセスを踏んでいくことができるはず。

 

偏った情報や、自分一人の思い込みだけで留学に踏み切らないためにも、カウンセリングを進学プロセスの中に組み入れるのはとても意昧のあることです。

 

アメリカの高校生でさえ、ガイダンスカウンセラーのサポートを得て、大学進学の準備をするのですから、日本の高校生が自分の力だけでは留学準備がままならないのは自明です。

 

「自分で手続さえできないのが、留学してもうまくいくわけない」とよく耳にしますが、そんなことはありません。

 

むしろ、カウンセラーからのしっかりした導きによる適切な進学準備があってこそ、留学が成功するのです。

 

「カレッジライフを成功させるカギは、高校時代の準備にあり」というのはアメリカでも常識です。