D アメリカ人の親が大学に期待すること

教育熱心なアメリカの親たち

 

いろいろな進学例を見てみると、アメリカ人の中産階級の親も、日本の親と変わらず、いずれも教育熱心で子どもに期待をかけています。

 

ただ、アメリカはどこまでいっても夫婦が中心で、子どもは基本的に独立して出て行くものという前提に立っていますので、子どもが立派になったら一緒に住んで子どもに頼ろうということはありません。

 

それでも、子どもが幸福で、よりよい人生を送ることを望むのは、国も人種も関係なく、みな同じです。

 

アメリカでは、大学にはみんな働きながら通っているというのは一方的な見方で、両親にそれだけのお金がない場合は仕方がありませんが、お金に余裕があれば、どこまでも高い教育を受けさせてやりたいと考えています。

 

また、アメリカには日本学生支援機構のようなローン形式の奨学金がとてもたくさんあって、自分でもかなりまかなえる方式になっています。

 

返却しなくてもよい奨学金も用意されていて、成績やスポーツの能力などで支給されます。

 

家族そろって祝う卒業式

 

時代が進むにつれて、社会がより高度な技術や知識やスキルを要求しますので、親としては、子どもがちゃんとそれらを身につけてもらいたいと考えています。


また、アメリカという国を少しでもよくして、次の世代に渡せるようにしてもらいたいとも願っています。

 

親にとって、大学は、まず子どもたちが親離れをしていく第一歩です。

 

自然に図まれたよい環境で寮生活をして、大学生活を送ることが当然と考えられていますので、8月末になるとアメリカ中、子どもの荷物を積んで親たちが大学ヘ子どもを送って行く光景が見られます。


5月にはまた、おじいさん、おばあさんも連れて卒業式に出席し、子どもの荷物を積んでみんなで帰って行きます。

 

5月は、大学のある小さな町のレストランは卒業式の家族でいっぱいになります。

 

入学式のないアメリカは、卒業式が家族そろってのお祝いのときです。

 

大学で生きる方向性を見つけてほしい

 

またアメリカの親は、大学では、自分の生きる方向性を見つけてもらいたいと考えています。

 

理系・文系・芸術系・体育系に分かれていないアメリカの大学では、まったくピアノを弾いたことがなくても音楽科に入り、ピアノを一から学べます。

 

途中で専攻を変えることも、またダブルメジャーといって、物理とアートを両方専攻することも可能です。

 

自分の才能や可能性を見つけることができるのです。

 

また、社会に出ると大変なのが人間関係ですから、寮生活を通じていろいろな人間と出会って、社会生活の一歩を身につけてもらいたいと考えています。

 

高校まで親と一緒にいたように、自分の好きな人とばかり出会うわけではないのです。

 

イヤな人、合わない人とも、社会に出ればともにやっていかなければなりません。

 

とくにアメリカはFair(公平)の精神が大好きで、小さな部屋でルームメイトとスペースをシェアして公平なルールをつくっていく、そういう努力をとても大切な経験だと思っています。

 

大自然に固まれたキャンパスで、たっぷり勉強し、本を読み、クラブ活動やスポーツをし、一人で生きていける勘や知恵や勇気を養ってほしいのです。

 

親はどんどん何も手助けできなくなるからです。

 

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