7 授業

 

授業のスケジュール

 

授業のスケジュールは週ごとに決められています。

 

科目の単位数=1週間の授業時間数、というのが一応の目安です。

 

アメリカの大学では1科目につき3単位得られる、というのが一般的ですので、

「代数:月・水・金曜日 9: 00〜9 : 50」

とか、

「経済学:火・木曜日 14: 00〜15 : 30」

というように時間が組まれます。


1学期にだいたい5科目=15単位とるのが標準ですから、1週間の授業時間はだいたい15時間ということになります。

 

授業時間だけを見るといかにも少ない感じですが、毎回の授業で出される宿題と予習に費やさなければならない時聞は、授業時間の2~3倍になります。

 

まとまった勉強時聞を確保するためにも、しっかりしたタイムマネジメントは欠かせません。

 

拘束時間が少なく、自由に使える時間が多ければ多いだけ、自分でマネジメントしなければなりません。

 

できるだけ先を見越して、あなたなりのスケジュールをつくってみましょう。

 

授業はディスカッションが中心

 

アメリカの大学の授業は、先生の講義を生徒たちが聴く、というよりも、宿題として読んできた教科書の内容をもとに、学生たちが意見を交わす「ディスカッション」形式です。

 

アメリカでは、子どものころから「自分の意見をもちなさい」と親からやかましく言われ、小学校からすでに、スピーチやディスカッションで自分の意見を発言する訓練を受けています。

週間スケジュール

 

アメリカの大学では「黙っている=理解していない」と見なされます。

 

学生たちはその日に学ぶ範囲をすでに教科書を読んで知っている、ということを前提に授業が進行します。

 

教授は教科書に書かれている内容を踏まえて学生にディスカッションをさせ、教えるというよりもディスカッションの司会を務めます。

 

ディスカッションでは、個々の学生の意見に対して、必ず"Why?"が問われます。

 

何でも "Why?"と聞かれるので、日本人である私たちはときにウンザリしてしまいますが、移民国家であるアメリカには、言葉によるコミュニケーションを徹底的に行うことで、お互いを理解しようとする文化が根づいているのです。


「コミュニケーション学」が発達しているアメリカではありますが、以心伝心は通用しません。

 

クラスの規模

 

小さな大学では1クラスの生徒数は20~30人前後ですが、大学の規模によってかなりの差があります。


大きな総合大学の一般教養レベルの科目では、1クラスの学生数が100人を超えることも少なくありません。

 

一方、小規模なリベラルアーツ・カレッジなどでは、1年生がとる科目でも1クラス20~40人です。

 

専攻課程になると、大学の規模にかかわらずクラスは小さくなります。

 

だいたい10~20人くらいです。


10人に満たないなんてこともめずらしくありません。


1クラスが100人超という場合は、授業は教授の講義によって進められ、ディスカッションは行われません。

 

教授との直接のやりとりもほとんどありませんし、出欠も問題にされません。

 

一方、小さなクラスでは、個々の学生の積極的な参加が求められます。

 

クラス全体で一つの調和されたグループといった意識が芽生えるので、教授と学生の、また学生同士のコミュニケーションはけっこう密になります。

 

とくに文学や社会学のクラスは、教授と学生との活発なコミュニケーションやロールプレイングによって授業が展開されます。

 

教授は一人ひとりの学生の持ち昧や可能性を引き出そうという指導をしますから、とても刺激的で、学ぶ意欲をかきたてられます。


留学生にとっては「つねに自分に教授の目が届いている」と実感でき、落ちこぼれることの心配もせずに、安心して学べるでしょう。

 

なお階段教室での講義でも、週に1、2回は小さなグループに分かれたディスカッション形式のクラスが組まれます。

 

階段教室では教授が教え、ディスカッショングループのほうはTA(Teaching Assistant :助手の大学院生)が受けもつというのが一般的です。

 

100%の出席率をめざそう

 

シラバスを見ると"Classattendance is mandatory (出席は必須)"とよく書かれています。

 

しかし実際には出欠がとられることはあまりありません。

 

大学生くらいになると、個々の学生の自己責任能力を問われるようになるからです。

 

つまり、「欠席をするのは自由。しかしそれが原因で小テストを受けられなかったり大切なテスト範囲の講義を聞き逃したとしても、それはあなたの責任である」ということです。

 

アメリカの自由は自己責任のうえに成り立つのです。

 

さて、出欠をとられないからといって、ではアメリカの大学生は頻繁に欠席するかというと、決してそんなことはありません。

 

1回の欠席で逃すことの大きさを考えたら、よほどのことでもなければ欠席などできません。

 

また遅刻をする学生もほとんどいませんし、ついでに言えば、授業中に寝ている学生もいません。

 

とくに小さなクラスでは、一人ひとりの学生の積極的な参加が求められますから、欠席するとそれだけ「参加していない」ということになり、それが成績に影響します。

 

また欠席がたびたび続くと、「自分はやる気がない」というイメージを教授に与えてしまいます。

 

心象のよし悪しは、小さな大学ではかなり成績に影響すると心得ましょう。

 

病気などでどうしても欠席・遅刻しなければならない場合は、事前にEメールで教授にその旨を伝えましょう。

 

そして回復したらすぐに教授のオフィスに行き、授業のポイントや課題をうかがいましょう。