推薦状 (Letter of Recommendation)は、エッセイと同様に、アメリカの大学の合否決定に大きく影響する審査対象です。
とくに私立大学、エリート大学ほど、推薦状を重視します。
より多角的にあなたの人間像を探ろうとするからです。
一方、州民ならだれでも入学させる州立大学やコミュニティ・カレッジでは、推薦状は求められません。
大学にとって推薦状は、学力だけでは甲乙つけがたい複数の志願者を比較する材料になります。
あなたと他の出願者との「違い」を把握するために、大学は推薦状を吟昧するのです。
推薦状は、1、2通が必要で、多くの大学では高校の先生の推薦状を2通求めています。
レベルの高い大学では、3通以上が必要になることも。
名門大学ほど、ユニークな感性や際立った才能を求めるので、さまざまな観点から書かれた推薦状を調べあわせて、よりはっきりした人物像を読みとろうとするのです。
たとえばDartmouth Collegeには4通(先生2通、ガイダンスカウンセラー1通、同級生1通)の推薦状を提出しなければなりません。
Dartmouth Collegeに限らず名門大学には、同級生からの推薦状(Peer Evaluation)を求めるところが少なくありません。
Duke Universityではきょうだいや親戚からの推薦状も、オプションとして提出をすすめています。
推薦状は、出願者がどのように客観評価されているかを示す文書です。
ですからあなたのことをよく理解し、具体的に評価してくれる人に書いていただくようにしましょう。
そして最も大切なのは、あなたの留学に賛同し、応援してくれる人に頼むことです。
2通のうち1通は担任の先生にいただきます。
もう1通は、できれば担任の先生とは異なる教科の先生に書いてもらいます。
ちなみにアメリカでは、1通目はガイダンスカウンセラーに書いてもらい、2通目を国語あるいは数学の先生に書いてもらう、という高校生が多いようです。
アメリカの高校のガイダンスカウンセラーは、効果的な推薦状の書きかたをよく心得ています。
多くの留学生は英語の先生に頼みますが、教科は何でもかまいません。
専攻が決まっている場合は、その専攻分野とかかわりのある科目の先生に書いていただくといいでしょう。
しかし、科目が何であれ、あなたのことをよく知っている先生に書いていただくことのほうが大切です。
その先生にいま教わっていなくても、過去に教わったことがあれば大丈夫。
といっても小学校までさかのぼるのは好ましくありません。
大学は「いま」のあなたを知りたいので、教わったのは過去でもかまいませんが、いまでも親交のある先生に書いていただくのが望ましいのです。
また部活の顧問の先生に書いていただいてもかまいません。
とにかくあなたのことをよく知り、また応援してくれる先生に頼むこと。
推薦状は先生からの2通があれば十分ですが、アルバイト先の上司、ボランティア団体のスーパーバイザー、習い事の先生など、まったく別の角度からあなたを評価してくれる人からもう1通、推薦状を書いていただくと功を奏することもあります。
ただし、2通しか求めない大学に3通送っても、2通しか読んでくれない場合がありますから、 3通のうちいずれの2通が読まれてもいいように、すべての推薦状がそれぞれにインパクトがあることが大切です。
推薦状には、できるだけ客観的に、具体例を挙げてあなたの「よいところ」を評価してもらいます。
学力のみならず、性格、生活や授業への取り組み方、創造力、協調性、リーダーシップ、社会性など、何か際立った長所が述べられているのが理想的です。
学業面だけでなく、クラブ活動、コミュニティ活動といった課外活動についても、その活躍ぶりを具体的に書いてもらうといいでしょう。
できればどんな点でもかまわないので、あなたの「No.1」を書いていただくと、より見栄えのするものになります。
形式ばったものではないので、少々型破りでも熱意をもって書いていただいたほうが、アメリカの大学には強い印象を与えます。
アメリカは褒めるのがあたり前の社会です。
日本では歯の浮くような褒め言葉のほうが、かえって効果があります。
大学は出願者の人物像を知りたいのですから、推薦状がマイナス材料になる心配はありません。
大いに褒めてもらい、あなたの魅力が存分に伝わるよう書いてもらいましょう。
また日本でいわゆる進学校やレベルの高い高校に通っている人は、自分の学校がいかにレベルが高く、有名校であるかということを推薦状に書いてもらいます。
先にも述べましたが、とくに進学校での成績がかんばしくない場合、その言い訳をエッセイで書くのは好ましくありませんが、推薦状で理由を説明していただくのはかまいません。
むしろ説明していただくよう、推薦してくれる先生にお願いしたほうがいいでしょう。
アメリカの高校生はSeniorになってすぐの9月に、推薦状の依頼をします。
多くの高校生は、この時点である程度、志望校をリストアップしています。
日本の高校生も、アメリカの高校生と同じ時期、すなわち高3の2学期が始まってすぐに先生に推薦状をお願いするのが望ましいでしょう。
そして11月くらいには書き終えていただき、2学期の終わりまでには提出できるよう整えます。
なおEarly DecisionあるいはEarly Action (→p.169)で出願する場合は、遅くとも11月には大学に提出しなければならないので、それよりも早くいただかなくてはなりません。
推薦状を依頼する際に、必ずしも志望大学が決まっていなくてもかまいませんが、先生が推薦状を書きやすいように、留学の動機や将来の夢など、できるだけ先生に情報を提供するように心がけましょう。
また、あなたのプロフィールや受賞経験、部活や委員会での役割、課外活動などを書いたものを渡すのもいいでしょう。
そして恥ずかしがらずに、自分の長所を先生に伝えること。
また、ある程度エッセイを書き上げたら、そのエッセイを先生に読んでいただくことで、よりあなたの考えが先生に伝わります。
日本語で推薦文をいただいた場合は、それを英語のできる人に翻訳してもらったうえで、先生にサインをいただきます。
最近では多くの高校にネイティブの先生がいますから、できればそうした先生にチェックしてもらいましょう。
アメリカの大学は、あなたのことをよく知っている先生から情報を得たいわけですから、日ごろから先生と信頼関係を築く努力を怠らないようにすることが肝心です。
また書いていただいた先生には、合否の結果を知らせ、きちんと誠意と謝意を示しましょう。
推薦状には、まず、
を簡単に述べてもらいます。
次に、あなたの性格的な長所(我慢強い、創造力がある、思いやりがある、友達が多い、など)をいくつか、事例をまじえて述べてもらうのがオーソドックスな推薦状です。
ともかく具体例が書かれていることが重要です。
短所には目をつむっていただきましょう。
なお、推薦状には推薦者のサインが必要です。
用紙は、大学が指定するものでなければ、推薦状を書いてくれる人の勤務している学校や会社のレターヘッドを用います。