10 ペーパー

ペーパーとは

 

アメリカの大学では小論文のことを「ペーパー(Paper)」といいます。

 

学生一人ひとりがそれぞれにテーマを掲げ、それについてリサーチした結果を記したものです。

 

教科書や授業で理解したことを書くのではなく、自主的なリサーチに基づいた内容を書かなければならないのが特徴です。

 

ペーパーづくりは、たくさんの文献・資料にあたって論理的に書かなければなりません。

 

そしてただ単に調べ上げたことを記すのではなく、それについてのあなたなりの見解や意見も、述べる必要があります。

 

そしてそれらの見解や意見には、必ず「なぜなら〜」という裏づけが伴わなければなりません。

 

ペーパ一作成に費やす時間とエネルギーは膨大なものです。

 

慣れるまでは大変ですが、ひとたびプロセスを体験してしまえば、あとは時間さえかければそれなりのペーパーをつくれるはずです。

 

短時間で勝負しなければならないテストに比べて、じっくり時間をかけられるペーパーは、留学生にはかえって点を稼ぎやすいようです。

 

しかもいまではリサーチの大半をインターネットでできるようになりましたし、日本語の資料もインターネットで見いだせますので、ずいぶん便利になりました。

 

ペーパーの種類

 

アメリカの大学のペーパーは、以下の3種類に大別できます。

1.タームペーパー(Term Paper)

学期末に提出するペーパーのこと。

 

学期のはじめあるいは半ばくらいにペーパーの課題が出され、それから時間をかけてリサーチし、期末までに書き上げ、提出します。

 

レターサイズ(A4に近いサイズ)で10〜30枚くらいです。

2.ショートペーパー(Short Paper)

2、3枚から多くて5枚くらい、単語数でいえば1,000〜1,500字くらいの短いペーパー。

 

学期の途中で数回書かされることもあります。

3.実験レポート(Lab Report)

理系の科目でよく見られるペーパーです。

 

実験の目的、プロセス、結果、分析を記します。

 

グラフや表を多用します。

 

一般には、中間・期末テストと、タームペーパーを3本柱として成績評価がされる科目が多く、Short Paperはあったりなかったりです。

 

理系の科目では実験レポートがタームペーパーを代用します。

 

ペーパーを書くプロセス

 

ペーパーの課題が出されたら、提出日から逆算してスケジュールをたてます。


とくにタームペーパーの提出日は期末テストと重なりますので、できるだけ早い準備を心がけます。

 

7、8ページ(2,000〜2,500単語)のペーパーを書くのに少なくとも4〜6週間はかかると見ておきましょう。

 

ペーパーを書くプロセスは、大まかには以下のようになります。

 

それぞれの作業に達成日を設け、計画的に臨みましょう。

1. トピックを絞り込む

書く題材を決めます。

 

教授に指定される場合と、自由に選んでよい場合とトピックの絞り込みがあります。

2.テーマを決める

テーマとは、ペーパーを通してあなたが「言いたいこと」であり、「読者へのメッセージ」です。

 

できるだけ自分の思い入れのあるテーマを掲げます。

 

ペーパー作成のスケジュール

作業 作業達成目標日
トピックの絞り込み  
テーマ決め  
文献・資料収集  
アウトライン作成  
第1稿作成  
推敲・最終稿作成  
提出日  

 

3.文献・資料を収集する

ペーパーライティングにおいて大きなウェイトを占めるのが文献・資料の収集つまり「リサーチ」です。

 

あなたのテーマを具体的に立証するための材料を、図書館で文献を探したり、インターネットで資料を検索したりして、集めます。

 

教授によっては

 

「図書館で20以上の文献を、インターネットで5以上のサイトを調べ、参照すること」

 

といったノルマを課しています。

 

引用したら必ず出典を表記すること。

4.アウトラインをつくる

アウトラインとは、ペーパーの目次項目であり、骨組みです。

 

基本的にはエッセイのアウトラインに従ってつくりますが、ペーパーのほうが分量がうんと多いので、大見出し・中見出し・小見出しというように段階をつけてアウトラインをつくります。

 

このアウトラインづくりにしっかり時間をかけるのが、よいペーパーを書くポイントです。

5.第1稿を書く

ここまで来ればあとはアウトラインに肉付けしていくだけです。

 

とくに第1稿は、あまり深く考えずに、勢いに任せて書きましょう。

 

そしてチューターやWriting Centerの人にチェックしてもらいましょう。

6.推敲し、書き上げる

何度か推敲を繰り返し、最終稿(Final Draft)を仕上げます。

 

スペルチェックは入念にすること。

 

ペーパーには必ず出典を明記すること

 

ペーパーを書く際には、たくさんの文献や資料を、参考したり引用したりします。

 

その際に忘れてはならないのが、出典を明記することです。

 

アメリカは知的所有権というものにとても大きな価値を置きます。

 

学生といえども、他人の文章や語句を、出典を記さないで自分のペーパーに引用すること(Plagiarism)は、違法です。

 

「バレないだろう」と思っていても、きっとバレます。

 

教授はその分野のエキスパートです。

 

あらゆる文献・資料に目を通しているのですから、出典の見当はすぐにつきます。

 

Plagiarismが発覚すれば、それだけでそのペーパーはF(0点)です。


最近ではWEBサイトからの無断引用が大きな問題になっています。


きちんと出典を明記すれば何の問題もないし、引用した文献が多ければ多いほど、それだけしっかりリサーチした証にもなりますから、くれぐれも出典の明記を怠らないようにしましょう。