アメリカの大学では小論文のことを「ペーパー(Paper)」といいます。
学生一人ひとりがそれぞれにテーマを掲げ、それについてリサーチした結果を記したものです。
教科書や授業で理解したことを書くのではなく、自主的なリサーチに基づいた内容を書かなければならないのが特徴です。
ペーパーづくりは、たくさんの文献・資料にあたって論理的に書かなければなりません。
そしてただ単に調べ上げたことを記すのではなく、それについてのあなたなりの見解や意見も、述べる必要があります。
そしてそれらの見解や意見には、必ず「なぜなら〜」という裏づけが伴わなければなりません。
ペーパ一作成に費やす時間とエネルギーは膨大なものです。
慣れるまでは大変ですが、ひとたびプロセスを体験してしまえば、あとは時間さえかければそれなりのペーパーをつくれるはずです。
短時間で勝負しなければならないテストに比べて、じっくり時間をかけられるペーパーは、留学生にはかえって点を稼ぎやすいようです。
しかもいまではリサーチの大半をインターネットでできるようになりましたし、日本語の資料もインターネットで見いだせますので、ずいぶん便利になりました。
アメリカの大学のペーパーは、以下の3種類に大別できます。
学期末に提出するペーパーのこと。
学期のはじめあるいは半ばくらいにペーパーの課題が出され、それから時間をかけてリサーチし、期末までに書き上げ、提出します。
レターサイズ(A4に近いサイズ)で10〜30枚くらいです。
2、3枚から多くて5枚くらい、単語数でいえば1,000〜1,500字くらいの短いペーパー。
学期の途中で数回書かされることもあります。
理系の科目でよく見られるペーパーです。
実験の目的、プロセス、結果、分析を記します。
グラフや表を多用します。
一般には、中間・期末テストと、タームペーパーを3本柱として成績評価がされる科目が多く、Short Paperはあったりなかったりです。
理系の科目では実験レポートがタームペーパーを代用します。
ペーパーの課題が出されたら、提出日から逆算してスケジュールをたてます。
とくにタームペーパーの提出日は期末テストと重なりますので、できるだけ早い準備を心がけます。
7、8ページ(2,000〜2,500単語)のペーパーを書くのに少なくとも4〜6週間はかかると見ておきましょう。
ペーパーを書くプロセスは、大まかには以下のようになります。
それぞれの作業に達成日を設け、計画的に臨みましょう。
書く題材を決めます。
教授に指定される場合と、自由に選んでよい場合とトピックの絞り込みがあります。
テーマとは、ペーパーを通してあなたが「言いたいこと」であり、「読者へのメッセージ」です。
できるだけ自分の思い入れのあるテーマを掲げます。
作業 | 作業達成目標日 |
トピックの絞り込み | |
テーマ決め | |
文献・資料収集 | |
アウトライン作成 | |
第1稿作成 | |
推敲・最終稿作成 | |
提出日 |
ペーパーライティングにおいて大きなウェイトを占めるのが文献・資料の収集つまり「リサーチ」です。
あなたのテーマを具体的に立証するための材料を、図書館で文献を探したり、インターネットで資料を検索したりして、集めます。
教授によっては
「図書館で20以上の文献を、インターネットで5以上のサイトを調べ、参照すること」
といったノルマを課しています。
引用したら必ず出典を表記すること。
アウトラインとは、ペーパーの目次項目であり、骨組みです。
基本的にはエッセイのアウトラインに従ってつくりますが、ペーパーのほうが分量がうんと多いので、大見出し・中見出し・小見出しというように段階をつけてアウトラインをつくります。
このアウトラインづくりにしっかり時間をかけるのが、よいペーパーを書くポイントです。
ここまで来ればあとはアウトラインに肉付けしていくだけです。
とくに第1稿は、あまり深く考えずに、勢いに任せて書きましょう。
そしてチューターやWriting Centerの人にチェックしてもらいましょう。
何度か推敲を繰り返し、最終稿(Final Draft)を仕上げます。
スペルチェックは入念にすること。
ペーパーを書く際には、たくさんの文献や資料を、参考したり引用したりします。
その際に忘れてはならないのが、出典を明記することです。
アメリカは知的所有権というものにとても大きな価値を置きます。
学生といえども、他人の文章や語句を、出典を記さないで自分のペーパーに引用すること(Plagiarism)は、違法です。
「バレないだろう」と思っていても、きっとバレます。
教授はその分野のエキスパートです。
あらゆる文献・資料に目を通しているのですから、出典の見当はすぐにつきます。
Plagiarismが発覚すれば、それだけでそのペーパーはF(0点)です。
最近ではWEBサイトからの無断引用が大きな問題になっています。
きちんと出典を明記すれば何の問題もないし、引用した文献が多ければ多いほど、それだけしっかりリサーチした証にもなりますから、くれぐれも出典の明記を怠らないようにしましょう。