日本の有名私立大学から編入するケース

〜自分を高めるためアメリカの名門リベラルアーツ・カレッジに編入〜

ー流校から留学することの不安と勇気

後藤君は小学校からエスカレータ一式に私立の中学校、高校、大学と進学し、今は大学一年生で経済学部に所属しています。

 

後藤君の大学はトップクラスの私立大学なので、優秀な学生がたくさんいます。

 

しかし、サークルで友達になった海外からの留学生と接するようになり、自己表現力やコミュニケーション力、実行力が彼らと比較すると圧倒的に欠けていることを痛感し、いつかこの慣れ親しんだ温かい環境から飛び出していかなければと、思い始めました。


在学する大学を途中で辞め、留学をしたいとご両親に言うのには勇気が必要でした。

 

お兄さんに相談したところ、大学を卒業し就職してからMBAなどで留学する選択肢を考えてみるように言われ、それも良いアイディアだとは思いました。


しかし、考えてみればみるほど、人間が形成されるこの若い時期に留学をする必要性が自分にはあると確信しました。

 

後藤君はまず留学研究所のカウンセリングに一人でやってきました。

 

自分の希望に両親が反対するのではないかという懸念をもっていましたが、カウンセリングを通じてご両親もアメリカの大学の教育理念を知り、アメリカの教育を息子に受けさせることに興昧をもってきました。

 

何よりも後藤君本人がこれだけ真剣に留学のことを考え、正しい情報を習得していたことにご両親は感心していました。

アメリカの有名大学のタイプを理解する

後藤君はご両親の希望もあり、「有名大学」「レベルの高い大学」に進学をしたいと決めていました。

 

アメリカには、日本人も名前を聞いたことがあるような有名大学があります。

 

カウンセラーは後藤君が有名大学に出願することは良いことだと同意をしました。

 

アメリカには、いくつかの大学のタイプがあり、研究型大学、中規模大学、リベラルアーツ・カレッジ、それに私立と州立という分け方もあります。

 

後藤君やご両親は、聞いたことがある「有名大学」がどのタイプの大学かはまったく知りませんでしたし、考えたこともありませんでした。

 

カウンセラーはカタログで一つひとつの大学を調べる前に、アメリカの教育制度、大学教育の歴史的背景、大学のタイプとそれぞれのタイプの大学の社会の中での役割を徹底的に説明しました。

 

初めは、あまり名前を聞いたことがないリベラルアーツ・カレッジには輿昧を持てなかった後藤君ですが、次第にリベラルアーツ・カレッジは学部中心の教育を施していること、少人数制で徹底的に自分の意見を持つことや表現することを教え込まれる場所だと知るようになった後藤君は、リベラルアーツ・カレッジこそ自分が理想とする教育を施してくれるところであり、そこに行って頑張れば、自分がそもそも思い描いていた人間像に近づくことができるのではないかと確信するようになっていきました。

 

その後、出願候補になったリベラルアーツ・カレッジを何校も調べ、Swarthmore College、Haverford College、Centre College、Denison Universityを出願校として決定しました。

成績優秀でもエッセイには苦労をする

エスカレータ一式で、附属校から受験を経験せずに大学に進学した後藤君にとって、TOEFLは久々に時間をかけて準備するテストでした。

 

しかし、高校時代も大学時代も、成績はトップクラスで、とくに英語は得意科目だった後藤君にとって、TOEFLの勉強はむしろ楽しいもので、どんどんと語彙や出題のパターンを習得していきました。

 

出願を決めたリベラルアーツ・カレッジは、編入生に対してもSAT Reasoningテストを課す学校もありましたので、それも受ける必要がありました。

 

後藤君はアルバイトを辞め、夏休みは全力投球でTOEFLとSATの勉強に力を注ぎました。

 

その結果、9月下旬には最初の目標であったTOEFL80点を超える83点を達成できました。

 

SATは1回目で読解450点、数学740点で、ライティング480点でした。

 

その後もTOEFLは月に一度受験をし、1月には102点を達成しました。

 

SATも12月には読解510点、数学780点、ライティング520点に届きました。


TOEFL、SATの勉強と同時併行で、後藤君が取り組んだのは、出願校に提出するエッセイでした。

 

TOEFLやSATに比べると、後藤君にとってこちらの方が頭痛の種でした。

 

高校で読書感想文は書いたことがあるものの、典型的な日本の学校教育を受けてきた後藤君は、自分の意見を徹底的に掘り下げて、分析し、文章を構成し、なおかつ出願校の入試担当者の目を引くようなエッセイを書くことは初めての経験でした。

 

カウンセラーの指導のもと、後藤君は過去の経験から学んだことを題材に、すべての大学に提出をする共通のエッセイを書き始めました。


また、後藤君が出願する予定のレベルの高いリベラルアーツ・カレッジはサプリメンタルエッセイと言われる追加のエッセイが要求されます。

 

これは出題トピックを理解するのも一苦労の難しいエッセイです。

 

トピックをうわべだけで理解するのではなく、このトピックを通して、大学側が何を聞こうとしているのか、出願者のどういった側面を知りたいのかを理解していきます。

 

最終的に、日本文から英訳をし、1月中旬にはネイティブチェックにかけてすべて完成させました。

名門リベラルアーツ・カレッジで自分を鍛える

レベルの高いリベラルアーツ・カレッジに1年生から入学する場合の願書締切日は12月や1月ですが、編入生の締切日は多くのところが3月や4月です。

 

後藤君は、2月にはすべての大学に出願をし、5月初旬には結果が出揃いました。

 

一番の挑戦校だったSwarthmore Collegeは残念ながら不合格でしたが、他の3校は見事合格でした。

 

Centre CollegeとDenison Collegeからはそれぞれ奨学金をもらいましたが、第二希望のHaverford Collegeに進学することを決めました。

 

後藤君はアメリカの名門リベラルアーツ・カレッジへの編入を固く決意しており、後戻りをしないという意思表示として、1年次を修了した時点で日本の大学に退学届けを出していました。

 

1年間分の単位をアメリカの大学に認めてもらい、3年間かけて上質なリベラルアーツ・カレッジでみっちりと自分を鍛えたいという思惑もあったからです。

 

後藤君が1年間で取得していた42単位のうち、Haverford Collegeは34単位認めました。

 

語学として英語の科目の8単位分は認められませんでした。

 

第二言語の英語(ESL)と判断されたからです。

 

後藤君は、予定どおり3年間かけて知的にも人間的にも自分を成長させるという意欲満々でHaverford Collegeに編入し、経済学を専攻しています。

 

ゆくゆくは日本の商社に就職し、世界を舞台に仕事をすることを希望しています。