アメリカの大学ヘ編入するためには


日本で取得した単位でも認定される

 

オバマ大統領がOccidental Collegeというリベラルアーツカレッジからコロンビア大学に編入したことを知っていますか?

 

日本では一般に編入というと、短大から四年制大学に入ることと想像しがちですが、アメリカではあくまでもAという大学からBという大学にいくらかの単位をもって移ることをTransferと呼んでいます。

 

アメリカの大学は単位制のため、四年制の大学でも3年半で卒業しても、4年半で卒業してもかまいません。

 

サマースクールの授業も取れば3年でも卒業できます。

 

学年も1年間終わったら2年生というのではなく、30単位持っている人が2年生、60単位持っている人が3年生という考えです。

 

たとえば、ニューヨーク州にあるIthaca Collegeの学年の決め方は以下のとおりです。


1年生:0 -29.9単位

2年生:30 -59.9単位

3年生:60 -89.9単位

4年生:90単位以上

 

また、アメリカの大学は卒業に必要な約120単位のうち60単位はどこからもってきてもかまわないというのが原則的な考え方です。

 

たとえば、日本の大学に1年間在学して、アメリカの大学に編入する場合、日本では多くの学生が40単位くらい取得していますが、アメリカの大学に入学後、Registrar's Officeという部署に日本の大学の成績証明書や講義概要がまわされ、32単位認めてもらえるということになれば、120-32 =88単位をこなせば卒業できるということになります。

 

それを3年で終わらせようが、2年半だろうが4年だろうが、本人のやり方次第ということになります。

 

しかし、もし日本の大学に3年生まで在学してアメリカの大学に入学する場合、おそらく日本では100単位以上持っていると考えられますが、60単位しか認めないというのがほとんどのアメリカの大学の考え方です。

 

つまり、100単位持っていても60単位持っていても、60単位しか認められません。

 

前述のオバマ大統領はOccidental Collegeに2年間、コロンビア大学に2年間在学していたわけですから、おそらく約60単位を持ってコロンビア大学に編入したと考えられます。

 

アメリカの大学は入学金というものがないので、単位をもって大学を移動しても、費用的損失もありません。

 

したがって、大学を移るというということにそれほど抵抗もないのです。

 

この単位を認めるという方式は日本の大学からの単位にも適応されます。

 

日本の文部科学省が認めた大学であれば、通信教育でも放送大学でも夜間大学の単位でもかまいません。

 

単位を認めるということにおいては大学のレベルも関係ありませんので、どの日本の大学に行っても心配ないのです。

 

日本の大学に行くかアメリカの大学に行くか悩むというのはよくあることですが、それほど深刻に考えず、悩む場合はまず日本の大学に入学して単位を取得して途中からアメリカの大学に編入すればよいわけです。

 

2つの大学を経験するというのも悪いことではありありません。

 

しかも何学部に入学しようと、主に一般教養の科目を中心に履修していれば、アメリカの大学の1、2年生の60単位に充分あてはまりますので、単位を認めてもらえたうえに、日本の大学の学部と全く違う分野を専攻してもOKです。

 

つまり、日本で経済学部に入学して、アメリカの大学に編入後はスポーツ経営学を専攻しても大丈夫です。

 

こう考えると、留学費用の問題でもこの編入制度はとても便利です。

 

4年間留学するのと2年間では費用が違いますから、初めの2年間は費用の安くすむ日本の夜間大学などに行くという方法もあります。

 

では、どのような編入のタイプがあるのでしょうか。

 

@日本の大学に行くかアメリカの大学に行くか、高校時代から迷っている。


A偏差値で日本の大学を選択して入学したが、勉強したいことがわからなくなった。

 

または、現在の学部と違うものを勉強したくなった。


B日本の大学に入学したが、勉強に身が入らず、みんなと遊ぶことにも納得ができず、アメリカの大学で寮生活をしてキチンと勉強する生活をおくりたい。

 

C日本の大学に入学したが、あっという間に就職活動ということになってしまい、それがいいことなのかとても納得できない。

 

もう少し自分について考える時間がほしい。

 

D日本の大学に入学した、あるいは卒業したが、まったく実力があるとは思えない。

 

もう少し世界で通用する実力を身につけたい。


E短大に在学中、あるいは卒業したが、やはり短大卒では物足りないので、キチンと四年制大学を卒業したいが、同じ編入するのならアメリカの大学で実力をつけたい。


Fアメリカの大学に本来なら進学したいが、費用の問題があるので、とりあえず日本の大学に入学した。

 

現在、アルバイトでお金を貯めている。


B日本の大学を卒業して社会に出たが、もう一度自分の方向性を考えたいし、英語の実力もつけたいので、大学院よりはもう一度大学に編入したい。


H社会人だが、どうしてもアート、または音楽、スポーツなどへ興味を抑えることができない。

 

アメリカではアートや音楽も初歩から学べるということなので、編入したい。

 

I本当は大学院に進学したいが、日本の大学の専攻と違いすぎる、日本の成績が悪い、英語力がないのでまず編入したい。


など、さまざまなケースがあるのです。

 

受験勉強を突破して、あるいはAO入試などでわりに楽々と日本の大学に入学したけれど、ふと気がつくと自分のやりたいことがわからないとか、このまま実力つかない状態で社会に出てもどうしようもないと思う人は結構いるのです。

 

何しろ、高校の初めに理系・文系と分けられて、その分け方も、何となく数学の成績が良ければ理系というようなもので、それほど明確に自分が理系とわかっている人も少ないものです。

 

おまけに受験の本番ともなると、理系と言っていた学生が、偏差値の関係で文系の学部を受けた方が有名大学に入学できるとなると、文系に変わったりするのが現状です。

 

そんな程度で学部を決めている人が多いのですから、大学に入ってからも専攻を極めるために勉強中心の生活という人は少ないものです。

 

また、新しい友人とクラブ活動、コンパ、飲み会など楽しいこともいっぱいあります。

 

そうやってあっという間に1〜2年が過ぎ、気がついたらもう就職活動です。

 

また、就職活動で「君は何をやりたいのか」と問われたりするのですが、実のところよくわからない人がほとんどではないでしょうか。

 

だいたい「君は何をやりたいのか」と聞く大人にも聞いてみたいものです。

 

「あなたはなぜ今の仕事をしているのか」と。

 

おそらく90%の人は「たまたま」と返事をするはずです。


就職というものは運や縁が大きく左右するのです。

 

それが証拠に、就職活動している時代に金融が隆盛であれば、法学部だろうが社会学部だろうが、理系さえも一流証券会社に就職するのです。

 

集中力、記憶力、自己管理が教育の中心にある日本では、常に先生の講義を聞き、教科書を読み、理解し、暗記をして、テストで点数がついて終わり、ということがほとんどですから、コツコツまじめにやる人でないとなかなか勉強することは難しいのです。

 

大学までは大学に入るという目標があったので勉強もしますが、大学に入ると大学での努力や成績がどこへ向かっての目標になるのかわかりません。

 

また、いっぺんに大人扱いされるので、自由になって刺激が多すぎます。

 

就職活動もどうやら大学でコツコツ勉強することはあまり関係ないところで勝負しないといけないとなると、大学で勉学に励むことは少々むずかしくなってきます。

 

こういったことに疑問をもって、こういう大学生活が本来あるべき姿かどうか、もっと広い違った世界も経験してみたいとか、もっと自分を試してみたいとか、本当の意味で実力をつけたいのでアメリカ留学に挑戦してみたいと考えたとしたら、その若者はなかなかのもので、将来の日本を背負って立つ一人になるかもしれません。

 

しかし、親や大学の先生や先輩たちは「お前は甘い」、「お前は逃げている」、「何を勉強したいんだ」と言い出すのです。

 

そもそも日本の大学の在り方や就職活動の在り方は、世界のどこから見ても奇異なもので、4月の一斉入社や入社式なんて世界のどこにもないということに誰も気がついていません。


1950年代の日本では、現在一流と言われ皆が入りたがる企業はとてもとても小さくて、たくさんの大卒を一斉に入社させるなんてできなかったわけですし、そもそも、日本の国民の大多数は農業や商業従事者で、サラリーマンなんてほんのわずかしかいなかったのです。

 

中学校を出て東京の商家に住み込みで働きにくる人たちもたくさんいて、謂わば、そういう人たちはいつか自分の店を持つことを夢見て働くわけで、まさにベンチャーやアントレプレナーなのです。

 

今のように皆がサラリーマンになるために大学に行くなんていう時代は1970年代に超盛んになり終身雇用が叫ばれたのですが、終身雇用の方は21世紀になり崩れてしまいました。

 

これからの人は現在どれほど大きな有名企業に入っても10年もすれば会社がなくなってしまうかもしれず、あるいは自分がリストラに遭っているかもわからないのですから、ただ皆と同じ道を進んでともかくサラリーマンになるなんていうのは、それこそ何も考えていないということで、甘くて自分の人生や将来を見ることなく就職さえすればいいということですから、まさに逃げているわけです。

 

人よりちょっと変わったことをしたり、自分の生き方を真剣に考えたりすると、甘いととか、逃げているとか言われる日本は、そもそもおかしいのです。

 

アメリカの大学は卒業するのが大変で、卒業までとても勉強が忙しく、就職活動なんてする時間はありません。

 

卒業して一服してからそろそろ仕事を探すのです。

 

イギリスでも、3年間の大学生活(ヨーロッパの大学はほとんど三年制です)を終えると、ギャップイヤーと言って、旅に出たり、いろいろな経験をして自分の人間性をもう少し幅広くして、それから仕事を探すのです。

 

何もかもベルトコンベア一方式で仕事まで探して、人生の最後まで皆で一緒に行って、安全、幸福なんて大間違いです。

 

よその国の教育の仕組みを知ったり、自分の将来を様々に想像したりすれば、留学という選択も当然の一つの道です。

 

しかも幸いなことに、アメリカには日本のどんな大学の単位も持っていけるという、とても大きなメリットがあるのです。