アメリカの大学には、600以上の専攻分野があるといわれています。
それらは大きく分けると以下のように分類できます。
1.古くから学問としてある分野(一般教養=リベラルアーツの分野)
・人文科学:文学、哲学、宗教学、外国語など
・社会科学:社会学、心理学、経済学、政治学、歴史学、文化人類学、教育学など
・自然科学:数学、生物学、化学、物理学、天文学など
・芸術:アート、音楽、演劇など
2.比較的新しく学問として確立した分野(実学的な分野)
・ビジネス:経営学、会計学、財務学、ホテル&レストラン・マネジメントなど
・工学:機械工学、電気工学、コンピュータ工学、建築工学など
・コンピュータ:情報科学、コンピュータ工学など
・コミュニケーション:コミュニケーション学、ジャーナリズム、スピーチ、マスコミなど
・スポーツ:体育、アスレティックトレーニングなど
・看護学
・農学
・映画
・犯罪学
・航空学
など……
ほかに、大学院でしか教えられない分野があります。
第U章で述べたように、アメリカでは、大学では幅広くいろいろなことを勉強して人間形成をし、専門的なことは大学院で学ぶようになっています。
したがって以下のような専門性の高い分野は、大学院に入って初めて学びます。
・医学
・歯学
・法学
・カウンセラー教育学
・美術館学
・司書学
など……
また、大学では広く浅く、大学院では狭く深く、というのが原則です。
たとえば心理学についていえば、大学では心理学全般にわたって基礎を学ぶのに対して、大学院では、実験心理学、臨床心理学、発達心理学など、心理学の中のある特定の一分野を集中して学びます。
本章では、数多あるアメリカの大学の専攻分野のうち、とくに日本人留学生に人気が高い、あるいは専攻しやすい25の分野を選び、それぞれについて概説します(五十音順)。
ここに紹介する以外にもたくさんの専攻課程が大学によって設けられていますので、大学カタログや大学のホームページの、「Academics」の項目をしっかりチェックしてください。
アメリカの大学では2年生の終わりまでに専攻を決めればいいので、いま専攻を決められないことを心配する必要はまったくありません。
大学に入って最初の2年間に、一般教養の科目をいろいろとって、そこから自分の適性を見いだしていけばいいのです。
アメリカの大学は「自分探し」の場ともいわれます。
あなたの新たな可能性を、きっと見つけ出せるでしょう。
大学によってカリキュラムはさまざまだが、一般には、幅広い芸術の分野を総括的に勉強する。
大きく「制作(Studio Arts)」と「批評・芸術史」に二分される。
「制作」には、線画、絵画、彫刻、版画、陶芸、織物、写真、グラフィックデザイン、ジュエリーなどが含まれ、油絵とか彫刻とかを選んでそれを集中的に学ぶカリキュラムも見られる。
リベラルアーツ・カレッジではまったくの初歩から「広く浅く」教えられ、芸術の専門大学では入学に際してポートフォリオが求められ、絵画なら絵画だけを「狭く深く」学ぶのが特徴。
大学にかかわらず、「制作」のほうを専攻すると、スタジオにこもってひたすら制作をすることになる。
一方、「批評・美術史」のほうは、色彩理論、構図、遠近法、解剖学、東西の美術史などが学ばれ、「読み書き」が中心になる。
大学によっては「制作」と「批評・美術史」をバランスよく組み合わせて一つの「Art専攻」のカリキュラムを組んでいる。
写真/ファッションデザイン/インテリアデザイン/アートセラピー/アートマネジメント
とくに「批評・美術史」を専攻した人は、大学院でさらなる研究をしたり、「美術館学」という大学院特有の分野を学んだりすることが多い。
また就職については、独立独歩のアーティストとして歩む道もあるが、ほかに広告、商業デザイン、WEBデザイン、グラフィックデザイン、TV・演劇の美術部などに活躍の場を見いだせる。
大学や美術館で修復・保護に携わったり、アートのイベントを企画したり、もはや「芸術家は食えない」時代ではない。