日本で大学を卒業してから編入するケース

〜アメリカの大学で新しい専攻で第二学士号にチャレンジ〜

語学学校に行くしかないと思っていたが・・・

森本君は都内にある大学に入学し、そこで環境学を専攻する4年生です。

 

卒論のテーマも決まり、いよいよ卒業を意識するようになり、自身の進路についてはそのまま大学院をめざすべきなのかと、とても迷っていました。

 

そんな時、たまたま一年間の交換留学を終えてアメリカの大学から帰国した友人に話を聞いてから、単純にアメリカで学校に通うことに興味が湧き、自分にはどんな留学が可能なのかを相談するため、一人で留学研究所を訪れました。

 

その友人は以前から英語がとても上手で、それを活かした経験ができることに、森本君はひそかに憧れていましたが、自分は大学入試以降、英語の勉強らしい勉強をしていません。

 

もちろん英会話の経験ありません。

 

地道に環境学の勉強をしていただけなので、アメリカに何かの機会で行けたとしても、友人のように大学のクラスを取るなんて夢にも考えませんでした。

 

思い切ってTOEFLを受けてみたところ29点という結果。

 

留学するなら最低でも61点は必要と聞いたことがあった森本君は、半分しかない自分の点数に、まず英語学校に通うしか方法はないと改めて考えているようでした。

 

「だけど、それでは意味がない」とぼんやり不安を抱える森本君に、カウンセラーは大学への編入とそこで第二学士号をめざすことを提案しました。

 

なぜなら、森本君は環境学を学ぶうちに、将来、国際的に地球環境問題についての政策提言などに関わることができたらと考えるようになったということをカウンセラーは理解したからです。

 

しかしそれにしても、森本君はさまざまな外交政策、国際機関、国際法、そして世界の政治・経済についての知識がまったく足りないのです。

 

そこで、アメリカの大学で第二学士号として国際関係論を学べば、環境学のバックグラウンドにプラスして将来に活かせるのではないかという話になりました。

 

たしかに英語力は大切です。

 

しかし、アメリカの大学は森本君の英語力を試すのではなく、学力、教養、そして知識を試し、育むところです。

 

中学3年生程度の英語力でも、大学は森本君の大学時の成績や環境学への強い関心や知識、そして自主的に参加してまとめた東京の下水道の研究レポートを評価するでしょう。


この説明にはとても納得した森本君でしたが、それでも全部授業は英語で受けなくてはならなくなるのですから、やはり不安そうです。

 

そこで、カウンセラーはアメリカは予習中心の勉強であることを話しました。

 

大学が発行するカタログを読めば何を勉強するか日本にいながら事前にわかります。

 

ですから、日本であらかじめ科目の知識や専門用語の意味を日本語で知っておけば非常に勉強が楽になるはずです。

4年かからずに第二学士号が取得できる!?

森本君は、アメリカの大学には編入という制度があるのは知っていましたが、それはあくまでも日本の大学に「在学中」の学生にしか適応されないと思い込んでいました。

 

たとえば日本で2年生まで学び、それからアメリカの大学に編入するといった具合です。

 

それが、すでに日本の大学を卒業してしまっている自分も「編入」できると聞き、とても驚きました。

 

しかしながら、編入しても新しい専攻を学ぶのですから、全部最初から、すなわち単位ゼロの状態から、大学生活をスタートしなくてはならないのでは、と森本君は心配しました。

 

しかし、すでに履修した日本の大学での単位はアメリカの大学で査定され、そこで編入単位として認められた単位はもっていけるということもわかりました。

 

森本君の場合は、国際関係論を専攻したと仮定して、2年から2年半くらいで第二学士号を修得できる可能性があることをカウンセラーは丁寧に説明しました。

 

「編入生としては入学できない」、しかも「4年かかる」と考えていた森本君にはまさに「目からウロコ」です。

 

国際関係学を第二学士号としてめざすことに意欲が湧いてきました。

 

そこでご両親とよく相談した結果、アメリカ留学に挑戦することを決定しました。

 

ご両親もあと2年半までなら何とか学費を出して支援してくれるとのこと。

 

真面目に将来に向けて頑張ろうとする森本君に、ご両親も投資するつもりで送り出すから一所懸命やりなさいと背中を押してくれました。

 

それから出願準備が始まりました。

 

英語が苦手だった森本君ですが、辞書を引きながら大学のカタログを読み、少しずつ長い英語の文章に慣れていきます。

 

とくに得意とする科学、生物、環境学にはもともとの知識も手伝ってか、さほど時間もかからず情報を読むことができるようになりました。

 

また、かねてから興昧のあった政治・経済ついても、興味深く、粘り強く勉強を進めます。

 

出願に必要なエッセイにも取り掛かります。

 

今まで学んできた環境学について、ユニークな独自の視点を自分の学んできた経験から述べ、そして、これから国際関係学を学ぶ意気込みについて丁寧に書きました。

 

これを自分なりに英作文で書くのには手間取りましたが、カウンセラーにアドバイスを受けながら何とか書き上げました。

 

出願も近づいた3月にTOEFLを受けると、結果は45点でした。

 

満足のいく結果ではありませんでしたが、きちんとスコアを伸ばしました。

バックグラウンドを評価されて2校に合格

国際関係論のカリキュラムを見て、最終的に出願校としてMorningside College, Salve Regina University,West Virginia Wesleyan Collegeの3校に決めました。

 

Morningside Collegeからは英語力が至らず不合格という結果。

 

しかし、他の2校からは英語力について懸念もありましたが、森本君のエッセイがとても気にいられ、その経験と豊富な環境学のバックグラウンドを見込まれて合格をもらいました。

 

悩んだ末、森本君は東部のロードアイランド州が気に入っていたのでSalve Regina Universityに決めました。

 

自分のこれまで学んでいた環境学が評価されて勝ち取った合格は、格別のものとなりました。

 

日本の大学に4年間在学していたのですでに132単位もっていますが、そのうち80単位ほど認められました。

 

Salve Regina Universityの卒業単位数は120単位ですが、単純に40単位を取ればOKというわけではありません。

 

Salve Regina Universityの一般教養、専攻分野の細かい卒業要件を実際に満たすためには、あと60単位を履修する必要があります。

 

なぜならば、80単位認めてもらえた単位のうち多くが自由選択科目のカテゴリーに振り分けられたからです。

 

日本の大学では専門科目を多く履修していたため、その多くが自由選択科目として認められたのです。

 

その結果、自由選択科目のカテゴリーは卒業要件以上の単位数をすでに修得していることになっています。

 

英語力が懸念され、最初の学期はESL2科目の履修が義務づけられています。

 

ESL科目は自由選択科目のカテゴリーですが、自由選択科目については要件が満たされているため、実際にはカウントされません。


今後60単位を履修していくと、卒業するためには、やはり予想どおり2年から2年半くらいかかります。

 

しかし、はじめは「語学学校が関の山…」であったのが、森本君は晴れて今では立派に第二学士号をめざす編入生として国際関係学の勉強に励んでいます。